マッサージや整体では治らない

背中が固くなっているならマッサージや整体に行けばいいのでは?

こう思われるかもしれません。確かに、体のこりや痛みを感じたら、まずはマッサージや整体に行くという人は多いと思います。確かに一時的にはほぐれたと感じるかもしれませんが、すぐに元に戻ってしまいます。

マッサージを受けた成熟した大人の男
写真=iStock.com/Satoshi-K
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一般的に、固くなってしまった筋肉を無理に伸ばしたり、無理に動かしたりしても、筋肉は柔らかくなりません。それどころか、筋肉に大きな負担をかけてしまうと、筋繊維が傷ついてしまいます。そして筋繊維が修復する際に、さらに固くなってしまうのです。

強めの力で揉むマッサージが好きな人がいますが、筋肉を柔らかくすることとは逆の作用が生じてしまいます。もし「痛みに耐えて」マッサージや整体に通っている方がいたら、注意してください。

「マッサージや整体がダメなら、自分で何とかしよう!」と、ジム通いやウォーキングに走りがちですが、ここにも落とし穴があります。それは、「がんばって運動する」ことです。

・がんばって筋トレする。
・がんばってストレッチをする。
・がんばって胸を張って歩く。

すべて「健康にいい」とされていることですが、この「がんばること」が、健康への遠回りなのです。なぜなら、がんばって力を込めている状態というのは、本来、人間にとって自然な状態ではないからです。体に強い負荷がかかると、痛みや歪みを引き起こします。筋肉はさらに固くなってしまい、体の不調も改善しません。

揉む、伸ばすより「ゆるめる」がいい

それでは、背中をゆるめるためには一体どうすればいいのでしょうか?

大切なのは、体の緊張をほぐして、背中の筋肉を「ゆるめる」ことです。ウォーキングスタジオを主宰し、これまで6000人以上の生徒さんに直接指導してきた中でたどり着いた私の結論が、これです。

少し私自身のお話をさせてください。かつては私自身も、厳しい食事制限と運動でリバウンドを繰り返してきました。はくだけでやせるスリッパや飲むだけでやせるコーヒーなど、たくさんのものを買いました。ジムやヨガやピラティスにも通い、筋トレやストレッチにも励んできました。

でも、背中が固い状態のまま、どんなにストイックに運動をがんばっても効果は出ませんでした。体形のコンプレックスは改善されず、肩こりや腰痛もひどくなる一方でした。

でも、あることがきっかけで、体がどんどん変わっていくことを体感したのです。それは「余計な力を入れずに、ラクに立ち、ラクに歩く」という姿勢と歩行の指導者との出会いでした。