組織や人事の統合でメンバーもシャッフル

藤井薫『人事ガチャの秘密 配属・異動・昇進のからくり』(中公新書ラクレ)
藤井薫『人事ガチャの秘密 配属・異動・昇進のからくり』(中公新書ラクレ)

今の会社と合併先では、人事制度も給与水準も異なると思います。合併を機に合併先の会社が人事諸制度を見直すこともありますが、数倍の規模差があるのであれば、今の会社の人事制度を合併先の人事制度に合わせて読み替えるかたちになりそうです。

そして、人事制度が統合されると、次は組織や人事の統合です。同業なのでサービスや顧客が重複する部分があるでしょうから、たいていは何らかの組織改編があるはずです。それに伴ってメンバーもそれなりにシャッフルされることになります。今まで管理職だった人がそうでなくなったり、合併先の会社の人が直属上司になったりということが起こります。

たとえば、業界トップのA社が業界10位のB社を吸収合併したとします。おそらくは、A社のほうが給与水準も高いでしょうし、新卒の就職難易度もA社のほうが上でしょう。B社の中には、新卒時にA社の採用試験に受からずにB社に入社したという人も多いかもしれません。

淘汰されるリスク、キャリアを拓く絶好の機会

誤解を恐れずに言えば、この状況はB社の管理職クラスの人にとっては淘汰とうたされるリスクと隣り合わせですが、伸びしろが大きい若手にとっては決して悪い話ではありません。キャリアを拓く絶好の機会だとも言えます。もちろん、結果は本人次第です。

合併先の他事業への異動有無については、すくなくとも合併からしばらくの間はこれまでの事業での貢献を期待されていると思います。もちろん、合併後は合併先の会社の社員なので、基本的に異動配置も合併先の制度や方針に則って、合併先の社員と同じように扱われるはずです。他事業部への社内公募などがあれば応募できるでしょう。

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