赤字店舗が黒字になった3つの理由

――売り上げについて、ベローチェをTHE SMOKIST COFFEEに改装したことでどんな変化があったのでしょうか。

コロナ禍で赤字続きの店をTHE SMOKIST COFFEEに改装したことで、各店舗の毎月数百万円の赤字額が、最初の半年で半分ほどに減りました。

1年ほどたったところで黒字が出始め、2年目にはその黒字がさらに増えて現在に至ります。地域にも喜ばれ、企業としても利益が向上したのでwin-winの状況をつくれたかなと思います。

インタビューに応じる友成社長
撮影=遠藤素子
インタビューに応じる友成社長。

成功の理由は3つあると考えています。

ひとつは価格を、ベローチェと比較すると、50~90円ほど高く設定させていただいたこと。通常のベローチェは、ブレンドコーヒーのレギュラーサイズは280円、ラージが330円です。THE SMOKIST COFFEEでは330円、380円としています。

もうひとつは「調理行為」ができないので従業員が少なくて済むということ。ベローチェだと1店舗で同時に5~7人が必要だったところ、THE SMOKIST COFFEEでは2~3人で足りるようになりました。人件費の抑制につながったわけです。

そしてもうひとつはお客さまの数。徐々にカフェの認知が広がり、喫煙目的で来店される方々が増えてきているんです。

打ち上げ花火のような商売はやらない

――さらに店舗数を増やしていくお考えでしょうか。

私がモスフードサービスグループにいた時、創業者の櫻田慧さんの「儲けはお客さまの満足料」という言葉を知りました。この言葉を今も深く胸に刻んでいます。黒字転換したからOKというわけではなく、今後もお客さまの満足度を高める努力を続けていくつもりです。

儲けはもちろん大事です。しっかり儲けを出さないと店は長続きしませんし、長続きする店をつくるのが外食産業のプロとしての使命だと思っています。

ただ、長く続くということは、お客さまや街に求められていることの証しでもあります。私はここをいちばん大事にしています。サッと出店して大きく稼いですぐ閉める、そんな打ち上げ花火のような商売はわれわれはやりません。

THE SMOKIST COFFEEも、長く地域に愛されるお店にしていこうという思いで展開しています。

インタビューに応じる友成社長
撮影=遠藤素子
「打ち上げ花火のような商売はやりません」と力強く話した。

――現状ではどんな課題があるのでしょうか。

やはり空気清浄システムに関してでしょうか。最近は技術もかなり進化していますが、どこまで清浄度を上げられるか、今後も突き詰めていきたいと思っています。現段階では大規模な設備投資をしたのにもかかわらず、私自身がまだ満足できていない店舗もあります。

店舗によっては、ピーク時には煙が気になって「ここにいられない」と感じることもあります。私はたばこは吸いませんが、煙が立ち込める空間が嫌なのは喫煙者も非喫煙者も同じではないでしょうか。さらに清浄レベルを上げて、お客さまの心のゆとりや健康を害さない空間を実現できたらなという思いで続けています。