「非高学歴の妻」が背負うプレッシャー

【成田】「リベンジ型子育て」では、高学歴な旦那さんと結婚した非高学歴の妻による子育てがより典型的です。たとえば、結婚した夫の家柄が何代も続いた医者の家系だったりすると、生まれた子どもたちを全員医学部に入れて、跡継ぎをつくらなければならないというプレッシャーがかかるわけですね。

家庭教育の概念、母親と一緒に勉強している少年
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リベンジしたい親は子育てを焦るため、小さい頃から塾に行かせるといった早期教育に走る傾向があります。全員が全員そうなるとは言いきれませんが、そうした焦りがすべて子どもに向かってしまい、親御さんからかけられてきた重いものを背負いきれなくなって爆発してしまうリスクはやはりあると思います。

――自分だけが非高学歴だと、余計に肩身が狭くなりそうですね……。

【成田】非高学歴の妻がどうしてそうした子育てをしたのか、といった原因を調べてみると、婚家の姑や舅によるプレッシャーであることが多いんです。

そうした焦りをご自身の中でうまく消化し、子ども自身が「お父さんの家系ってすごいな、僕も跡継ぎになりたいな」と自発的に思えるような環境を目指せればいいのですが、簡単ではないようです。

「私の欲しかった子どもではありません」

――子どもが自分の期待通りの結果を出せなかったときに、子どもを見捨てる親御さんもいるそうですね。

【成田】おっしゃるとおりです。「この道に進ませるしかない」「この家を継がせることが私の使命である」と思い込んでしまうと、子どもがその道以外に進んだときに、私からすると人格否定としか思えない言葉を平気で言ってしまうんです。

最も印象に残っているのは「こういう子どもは、私の欲しかった子どもではありません」と真顔で言われたことでした。

――そのケースには、どのように対応されたのですか。

【成田】「なるほど、そういう風に思うわけですね」と傾聴して、すべて共感します。そのうえで、「私は児童相談所の嘱託医もやっているから、私から通告したら一時保護もできますよ」と言うと、「そういうことではありません」と真顔で言い返されたこともありました。

こうした親御さんは、理想の立て方が根本的に間違っていると思うんですよね。理想の子ども像を職業に置くと、その職業につけなかったら子育てが失敗したことになってしまいます。子どもを希望通りの職業に就かせようとするなんて、宝くじを当てるよりも難しいということをまずは理解してほしいですね。