「いつの間にか身近になる」ことはほとんどない

ご存じの通り、英語の最初のレッスンは学校であれ英会話スクールであれ幼稚園の特別レッスンであれ、簡単なあいさつかゲームかアルファベットの練習からです。これでつまずく、抵抗を持つことなど、普通はないはずです。

そういったことを初めて体験した子どもの感想は総じて「楽しかった」というものです。「つまらない」という子は「すでに知っているので簡単すぎてつまらない」ということがほとんどだと思います。もし「そんなの思い込みだろ」と言われたら、「その通りです。でも、英語はとっつきにくいもの、という思い込みよりは多くのお子さんに当てはまると思いますよ」というのが僕の意見です。

確かに「幼い頃から家の中に英語の本があり、なんとなく手にしていたので、いつの間にか英語が身近なものになっていた」という言葉は、つい真似したくなるのかもしれませんが、「置いておけば身近になる」とは限りません。実際、幼い頃から部屋に世界地図などを貼っているご家庭は珍しくないと思います(いわゆる「知育ポスター」というものです)。

しかし国の大きさ・位置・国旗に多少の興味は示すものの、そこまで熱心になる子はかなり少数でしょう。また、意図せずとも、保護者の興味あるもの(ファッション誌でも車関係でも)は家の中にあるでしょうが、それがお子さんの興味を引くケースは少ないのではないでしょうか。まして、得意科目になるまで興味を示したり、将来「家にファッション誌があったので」と言ったりするファッションデザイナーは、ゼロではないでしょうが、決して多くはないはずです。

親が英語に興味がなければ効果がない

絵本を置いて早期英語教育に成功した方がよく言うのは「強制しないこと。絵本を置いておくだけ」というものだったり、「たまに親自身がその本を手に取り、熱心に読むと、子どもも興味を持つ」というものです。確かにこういったことを「本当にうまくやれば」成功するのかもしれません。でもたぶん実際に真似した人の大半は失敗するでしょう。なぜでしょう?

理由は単純で、「上手にやれていない」からです。本当に熱心に読んでいればお子さんも興味を持つのかもしれませんが、演技を見抜かれるのだと思います。また、仮に演技がうまくいったとしても、それ以上の時間、スマホのほうを熱心に見ていれば、そっちに興味が湧くのは当然ですよね。

一人で遊ぶ子どもの前でスマホの操作に夢中になる母
写真=iStock.com/yamasan
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つまり成功した方は、やはりご自身が大変な英語好きで、本気で英語の本を楽しんでいるのがお子さんに通じたのでしょう。かつ、知らず知らずのうちにスマホとうまく付き合い、お子さんの見えるところではあまり使わなかったのではないでしょうか。