SNSではストレートに自慢すると炎上しやすいため、Z世代の若者たちは自慢する際に間接的・婉曲的な表現を使うようになっています。まさにSNS時代ならではの表現手法ですが、TikTok上ではこの手法をさらに進化させた「シン間接自慢」と言えるものが生まれており、高い人気を集めています。

そのひとつが「容姿ポテンシャル自慢系」です。今の自分と同年代のころの親の写真を投稿しているものですが、これは暗に「自分もその遺伝子を受け継いでいる=イケメンである」と匂わせていると考えられます。投稿写真はカッコいい父親の姿であることが多く、投稿者もなぜかほとんどが男子です。

ベッドに横たわり、夜にスマートフォンを使用する人
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

ストレートに自慢すると、角が立つ

例えば、yushinさん(@yushin106)の動画「父親、本気出してみた」です。300万回再生された11秒の動画は、投稿者と父親と思われる男性が焼肉をしているシーンから始まります。父親の若いころの写真に「パピー(父親)の若い時レベチ(レベルが違う)だった」というコメントが添えられ、5枚の写真が次々と映し出されます。

同じような内容で、100万回再生を超えた動画も多くあります。投稿に共感したり、手法をまねしたいと思ったりしたZ世代が多かったということでしょう。

僕たちの世代には、「親を他人に見せるなんて恥ずかしい」という感覚の人も多いと思います。しかし、Z世代ではこうした抵抗感は薄く、いわゆる“友達親子”も少なくありません。普通に「今日はお母さんとデートしてくる」という男子学生もいますし、反抗期がなかったという若者も増えています。これもまたZ世代の大きな特徴と言えそうです。

「古参メンバー集まれ!」の本当の意味は…

シン間接自慢では、「古参優越感系」の動画もトレンドになりました。TikTokで初期に流行していた音源やダンスを投稿に使い、「自分は周りより早くTikTokを使っていた」と間接的に自慢するものです。

具体的には、主にダンス動画を投稿するナオグリッターさん(@nao_glittergirl)の投稿が挙げられます。初期に流行った音源に合わせて踊る1分間の動画「古参集まれ 懐かしいTikTokソングメドレー」は、350万回以上再生されています。