あなたは外国人に「抹茶はどのように作られるのか」と聞かれて答えられるだろうか。茶道歴40年の茶道家・竹田理絵さんは「茶の葉をそのまま飲む抹茶は、粉状の茶葉をお湯と茶筅で点てたもので、煎茶とはまったく違う」という――。

※本稿は、竹田理絵『世界のビジネスエリートが知っている 教養としての茶道』(自由国民社)の一部を再編集したものです。

お茶を点てている手元
写真=iStock.com/kumikomini
※写真はイメージです

外国人が飲んでいるお茶は煎茶であることが多い

外国人のお客様からの質問で一番多いのが、「お抹茶はどのように作られるのですか」というものです。

茶道体験にいらしたお客様に、「お抹茶を召し上がったことはありますか?」とお尋ねすると半数くらいの方が「飲んだことがあります」と答えます。

しかし、よくよく聞いてみますと、「お寿司屋さんで飲んだことがあります」、「日本食レストランで出てきました」など、煎茶とお抹茶を混同されてしまっていることがよくあります。

「通常、お寿司屋さんや日本食レストランで出てくるお茶は煎茶です。煎茶は紅茶と同じように、茶葉にお湯を注いで淹れたものをいただきます。茶道で使われるお抹茶は粉状になっていて、お抹茶にお湯を注いで茶筅ちゃせんで点てたものをいただきます。

日本にはたくさんの種類のお茶がありますが、お茶の葉をそのまま飲むのは抹茶だけです」とお話しすると、「お茶の葉をそのまま飲むのですか?」、「どのように作られているのですか?」と驚かれます。

お抹茶は、約4ミクロンという非常に細かい微粒子

お抹茶の栽培や製造方法は、煎茶や玉露といった他の緑茶とは少し違います。

お抹茶は新芽が伸びる茶摘みの2週間ほど前からは直射日光が当たらないように黒い覆いをかけます。この黒い覆いは寒冷紗といい、この栽培方法を覆下栽培といいます。

日光を遮ることで、葉緑素が増加して鮮やかな緑色になり、覆い香という香ばしい香りがつきます。また、渋み成分のタンニンが少なくなり、旨み成分であるテアニンの多いお抹茶に適した高級茶葉になるのです。

摘まれた茶葉はムラのないように蒸気で蒸して、その後、葉を揉まないですぐに乾燥炉で乾燥させます。蒸すことにより茶葉の酸化を止め鮮やかな濃緑色となります。