定期的な「友だちリスト一新」につながる

たとえアカウントを復活させても、完全に元に戻るわけではない。復活したアカウントに友だち申請する人もいるが、「あっちが勝手に消えたんだから」と申請しないで距離を置く人もおり、結果的に友だちリストの一新につながっている。

かつてLINEの「ブロック大会」が流行したことがある。ブロック大会とは、「友だちを整理します。この後もつながりたい人はこの投稿にスタンプを押してください」などと投稿し、スタンプを押さなかった人をブロックするという友だち整理術だ。友だちでい続けたい人とのみつながることができ、交流がなくなった人とのつながりをなくすことができるのだ。

「投稿を無視されるのも不快だし、いきなり切られたりブロックされたりしたら腹が立つ。そういう人はこちらから切る」と言い切った人がいた。「自分は友だちの投稿は全部見てリアクションしているのに、交流がなかったら友だちでいる意味がない」

ブロックされたり、友だち関係を切られたりするのは大きなストレスだ。無視されるのもうれしいことではない。切られるくらいなら自分で切りたい、人間関係をコントロールする側になりたいという意識が働いた結果、このような行動に出ているのだ。

快適な人間関係が保て、自分だけはいつも傷つかないで済むが、周囲から見ると自分勝手に周囲を振り回す人とも見える。

手から離したスマホはベッドの上に置き、少女はひざを抱えてうつむいている
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安定的に関係を維持できるのは150人まで

今の時代は、人間関係がリセットしやすい条件がそろっている。若者はSNSでのみつながっており、親しくても電話番号やメールアドレスなどを知らないことも多い。SNSで友だち削除やフォロー解除をしたり、アカウントを作り直せば、もう連絡を取ることもできなくなるのだ。

コロナ禍で人間関係がオンライン中心になったことも大きかっただろう。人類学者ロビン・ダンバーが提唱した「ダンバー数」によると、人が安定的に関係を維持できる人数は150人と言われる。

ところが、学校や会社などに行く機会が減り、SNSでのみつながり、オンラインで交流する相手がこの数よりも増えたことで、疲れることも増えたのではないだろうか。