レーダーに映らない潜水艦からミサイルを発射する最新兵器

ここから最新兵器による新たな戦い方を見ていこう。

ミサイルはふつう陸から発射されるけど、それでは衛星やレーダーに映ってしまいすぐにバレてしまう。そこでできたのがSLBMという潜水艦から発射されるミサイルだ。潜水艦はつねに深い海の中にいるから、撃つ前に衛星やレーダーで発見することができない。見えない場所からミサイルを発射できるようになったんだ。

SLBMの一番のメリットは、敵から先制攻撃を受けて地上にある基地が破壊されたとしても、海にいる潜水艦は被害を受けないから、反撃が可能というところなんだ。どんなに相手にダメージを与えても、手痛い反撃を受けてしまう可能性があると怖いよね。そのため、SLBMをもっていると、相手に攻撃をとどまらせる効果がある、と考えられている。レーダーに発見されないためにできるだけ陸地から離れた深い海で活動していることが多く、そのため長い潜水ができる原子力潜水艦が開発されているよ。

「ミサイルを撃たれても、むかえ撃てばいいんじゃない?」と思うかもしれない。だけど、見えない場所から発射されたミサイルを撃ち落とすのは、現代の技術ではほとんど不可能だ。さらに現在のSLBMに核をのせたら、都市を破壊できるほどの強力なパワーをもっている。日本の周辺では、中国と北朝鮮とロシアがまさに「見えない脅威」の武器を保有しているんだ。

落下してくるミサイルを迎撃する「ミサイル防衛」

ミサイルは、ロケットのようなものが降ってくる……と思っていないかな? じつは、降ってくるのは先にある「弾頭」と呼ばれる部分だけ。それ以外の部分には、必要な燃料や機械が載せられている。ミサイルが発射されると次々に胴体部分を切り離し、最後は弾頭だけで降ってくるんだ。一番危ない弾頭の部分は小さいから、降ってくるミサイルを撃ち落とすのはとてもむずかしいんだよ。

「ミサイル防衛」とは、かんたんにいえば、「落下してくるミサイルに、別のミサイルをぶつけて破壊する」という考え方だ。

ただ、優秀な日本のミサイル防衛でも、成功率は80%未満。つまり10発撃たれたら、2発は落ちることになる。迎撃率100%のミサイルは、いまの技術では存在しておらず、ミサイル技術は「攻撃側が有利」とされているんだ。

ミサイルの技術は年々進んでいて、1発で複数の場所を攻撃できる「多弾頭ミサイル」や潜水艦から放たれる「SLBM」、マッハ5以上の速度で、複雑な軌道で飛んでくるためさらに撃墜がむずかしくなった「極超音速ミサイル」、またミサイルを撃ち落とすためのレーザー兵器までつくられているんだ。技術の進歩とともに、SFの世界で見たような兵器が、現実にどんどん出てきているんだね。