公的年金だけで生活できるかを実験

こう話すと、「でも仕事しなきゃ食べていけないのだから、いやな仕事でもやらなきゃしょうがないだろう」とおっしゃる方もいると思います。

いやでもやらなきゃならないのは若い時の話です。65歳になると公的年金が支給されます。

「公的年金なんてあてにならない」と思っている人は多いかもしれませんが、決してそんなことはありません。事実、公的年金だけで生活している65歳以上の人は半数ぐらいいます。

私自身、法人化しているため、毎月会社から給料をもらって生活していますが、払っているのは私自身です。何しろ法人といっても社員は私と妻の二人ですから、自分に払う給料は自分で決められます。

私は実験として、「公的年金だけで生活できるかどうか?」を実際に自分でやってみました。

私は年金を繰り下げして70歳から受給することを決めていたので、65歳から受け取るべき公的年金は受け取らず、その金額とほぼ同じ23万円を給料として会社から受け取るようにしたのです。実際に仕事にかかる費用以外の日常生活費はこの金額で十分やっていけます。

年金手帳と電卓
写真=iStock.com/takasuu
※写真はイメージです

国民年金5万9000円でも食べていける

以前、作家の吉永みち子さんと雑誌で対談したことがあります。その記事にも書かれていますが、吉永さんは国民年金だけなので手取り5万9000円だそうです。

そこで、コロナ禍で家にいるときに実験をしてみようと、国民年金のお金を財布に入れて1カ月間、それだけで食費を賄っていると2万円ぐらい余ったそうです。

「食べていくだけなら公的年金だけでもやっていけないわけではない」のです。サラリーマン時代のように、「嫌な仕事は引き受けず、60歳以降に自分の好きな仕事を楽しみながらやっていく」が最もよい働き方だと思いますし、それは決してできない話ではありません。