SNS上の文章を無断で盗用する「パクツイ」は、犯罪にあたるのか。弁護士の小林航太さんは「日常のやり取りをツイートした内容を模倣された程度では、権利の侵害と主張するのは難しい」という――。(第3回)

※本稿は、小林航太『オタク六法』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

Twitterのページが表示されたスマホを持つ手
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●著作権法 第2条(定義)
1 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
⑮複製 印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製することをいい、次に掲げるものについては、それぞれ次に掲げる行為を含むものとする。
イ 脚本その他これに類する演劇用の著作物 当該著作物の上演、放送または有線放送を録音し、または録画すること。
ロ 建築の著作物 建築に関する図面に従って建築物を完成すること。

複製権と翻案権

オタ活との関係で特に問題となりやすいのが、複製権と翻案権です。

複製

「複製」は、著作権法上、「印刷、写真、複写、録音、録画その他の方法により有形的に再製すること」と定義されています。「有形的に」とは、なんらかの媒体上に、ということを意味し、「再製」とは、既存の著作物と同一性のあるものを創作することを言います。

要するに、文字どおり著作物をコピーするのが複製です。コピー機でイラストを複写する、音楽ファイルをパソコンから自分のスマホにコピーする、漫画アプリで読んでいるマンガのスクショを撮る、アニメを録画機器で録画する、(著作物にあたる)文章をコピペするといった行為はいずれも複製にあたります。

著作者は、著作物を複製する権利、すなわち複製権を専有(独占)しています。複製権は、著作権(Copyright=直訳で「コピーする権利」)の中心的権利です。

翻案

「翻案」とは、既存の著作物を元にして、別の新たな著作物を創作することです。著作権法上は、「著作物を翻訳し、編曲し、もしくは変形し、または脚色し、映画化し、その他翻案する権利」のことが翻案権と定義されています。翻案によって創作された著作物のことは二次的著作物、元にした著作物のことは「原著作物」と言います。小説の映画化や、マンガのアニメ化などは、翻案の典型例です。