記憶を定着させるにはどうすればいいのか。脳内科医の加藤俊徳さんは「いちばんのオススメは音読。複数の脳番地を一気に働かせることができるので、記憶が定着しやすい。声の出せない状況であれば『この内容を別の誰かに説明する』という意識を持つだけでもいい」という――。

※本稿は、加藤俊徳『一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

打ち合わせをする女性たち
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視覚よりも聴覚情報のほうが記憶しやすい

視覚系優位派、聴覚系優位派、どちらに属しているかにかかわらず、聴覚を働かせる習慣を持つことは、脳全体を活性化させる上でとても重要です。なぜなら、聴覚は視覚よりも記憶に直結し、記憶の一時保管庫である海馬にアクセスしやすいという特性があるからです。

こと記憶に関しては、視覚系に頼るよりも、聴覚系に頼ったほうが有利な面があることは確かなのです。高齢になって耳が遠くなると、記憶力も同時に下がっていってしまうのは、聴覚系の働きが弱くなり、海馬へのアクセスがスムーズではなくなってしまうから。それくらい、耳から入ってくる情報は脳の働きを左右するものなのです。

聴覚を働かせることのメリットは、聴覚系だけではなく他の脳番地も一気に働かせることができる点です。たとえば、普段の何気ないおしゃべり。円滑なコミュニケーションのためには、よく聞いて(聴覚系)、理解して(理解系)、自分の伝えたいことをまとめて(伝達系)、話す(運動系)という流れによって、複数の脳番地が一気に働いています。これを活かした勉強法の一つが、音読です。