デスクワークは体にどのような影響を与えるのか。整形外科医で東京医科大学の遠藤健司准教授は「デスクワークというのは、冷房、暖房のきいた環境で作業できる恵まれた仕事と思われているが、実際は体を動かすよりも重労働。首に大きな負担を与えているので、意識的に休憩を取り、運動することが大切だ」という――。

※本稿は、遠藤健司『完全版 自律神経が整う 肩甲骨はがし』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

現代のオフィスで彼女の机で働いている間に背中の痛みを経験しているビジネスウーマンのショット
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「立つ」より「座る」ほうが首や腰の負担は大きい

仕事全般で見ると、作業時間がもっとも長いのは、デスクワークだと思います。

健康を意識する時に座り姿勢である座位を理解するのは非常に重要。我々整形外科医は、その座位をかなり研究しましたが、座っている姿勢というのは、立っている時以上に、首や腰にとって負担が大きく、ストレートネックを招きやすいことがわかっています。

もともとゆるやかにわん曲している首が、デスクワークで前かがみになると首が逆にそるわけです。その結果、首の後ろの筋肉がとても緊張しやすい状態になり、それを続けていると硬直してストレートネックに。

最近はストレス社会で、作業効率が悪い、仕事がうまくいかない、となると、肩こりがより悪化して自律神経の乱れにも繋がります。

デスクワークというのは、室内の冷房、暖房のきいた環境で作業できる恵まれた仕事と思われていますが、実際は体を動かすよりもよっぽど重労働。首や肩、腰に強い負荷ふかがかかっているのです。長時間動かないで座り続けるというのは、心身ともに重労働であるということを皆さんに理解してほしい。

体を動かすと「ああ、よく働いた、頑張った」と思ってしっかり休むのに、デスクワークは重労働だという意識が低いために、休まずにこんを詰めて頑張り続けてしまう傾向が見られます。

リモートワークはさらに深刻です。パソコンが、椅子が、照明が、という問題ではなく、長い時間同じ姿勢で座り続けることが一番の問題なのです。

我々のような医師や研究者は長時間のデスクワークによる悪影響をよく知っていますが、会社も社会全体もその認識がまだまだ甘いようです。

繰り返します。デスクワークは、重労働です。仕事中も定期的に休憩をとり、仕事から帰ったら、ストレッチや入浴で体をいたわってあげましょう。