① 海外のCEOほど、カネがない

そもそも、海外のCEOの年収は数十億、数百億円がスタンダード。日本では、数千万~多くて数億円程度で、さすがに、これを数年やっただけでは、退職後に、慈善活動に大枚をつぎ込むほどの蓄財はできないだろう。そう考えると、人生100年時代、少しでも稼いでおきたいという気持ちになる人がいてもおかしくない。

② 権力、特権を手放したくない

権力は魔物である。一度手に入れたその力を手放すことに強い抵抗感を覚える人は少なくない。「秘書、自分の部屋、送り迎えの車」という三種の神器に加え、肩書や名刺を失い、「何者でもない人」になることへのおびえ。特に、生涯を一企業に捧げる人が多い日本では、そのセーフティーネットを失う「アイデンティティークライシス」に対する恐怖心は相当なものだろう。

金色の「CEO」と書かれたプレートが置かれた席
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③ 権力により、謙虚さを失い、承認欲求が肥大化

権力は腐敗する。そもそも、リーダーにのし上がる人には、「マキャベリアン(個人の野望と利益に固執し、人との関係性より、権力や金を優先する)」「サイコパス」「ナルシシスト」という、心理学では「暗黒の三元素(Dark Triad)」と呼ばれる3つの特質をもった人が多いとされている。最近では、これに「サディズム」が加わった4要素という説もあり、一般人のサイコパスの出現率は1%である一方、エグゼクティブになるとその割合が3~5%になるというデータもあるほどだ。

もともとそうした資質を持っていなかったとしても、権力が人を変えてしまうこともよくある。権力の座に居座り続けることで、エゴや承認欲求が肥大化し、傲慢さと行きすぎたプライドや自信ゆえに他者を見下す姿勢へとつながる。また、「つねにこびへつらわれる」という状況下で、「共感力」を失い、ロシアのプーチン大統領のように権力が目的化してしまう。暴君化するリスクは少なくない。

④ 「自分は役に立っている」という過信

自分の能力を謙虚に評価する力を失い、自らの知見や能力を過信してしまう。「まだまだ、会社のために貢献し、役に立てる」という誤った認知にはまり、迷惑な「利他意識」を振りかざしている可能性がある。