「自分のためにお金を使うのはサタン的な堕落した考え」

「当時、私は自立するためにお金を貯めていました。ところが、ビデオセンターの担当者が、『そのお金は神のために使うべきだ』と言うのです。私は反発しました。その後、その上の立場の女性信者との面談もありましたが、彼女からも『自分のためにお金を使うことは、サタン的な堕落した考えだ』とこっぴどく叱責されました」

これは教団がよく使う手口で、個人的面談を通じて、相手の資産を吐き出させようとします。彼女は女性信者の言葉を頑なに拒み続けたため、幸い親元を離れて一人暮らしすることができました。

お金を数える手
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しかし、母親が旧統一教会という恐ろしい沼にはまっている柴田さんの本当の苦労はここから始まります。

「母は、献金するために多額のお金を借り続けました。当時は、統一教会の聖地である、韓国の清平ちょんぴょんで行われた、先祖解怨(先祖の罪を清め、呪いを解く)のための修練会があり、母もたびたび訪れて献金をしていたようです。

借りては返すという生活を何度も続けていくうちに、借金できる限度額がきてしまったようです。それでも母親は献金などのノルマを果たそうとしたのでしょう。ある時、私に信者からお金を借りたので、『そのお金を返さなければいけない、生活費が足りないので、お金を貸してほしい』と言うのです。そこで、私はカードローンでお金を借りて数万円を貸しました」

その後も、母親の無心は続き、気づけば彼女は100万円ほどの借金を背負うことになっていました。

これは2009年以降の出来事で、教団のいうところの「コンプライアンスの徹底がなされた」後のことです。教団はこの9月の会見で「信者への献金奨励や勧誘行為はあくまでも信者本人の信仰に基づく自主性及び自由意思を尊重し、信者の経済状態に比して過度な献金とならないよう、十分に配慮しなければならない」として再度、これを徹底するといっていましたが、これが当時、機能しておらず、いかに絵にかいた餅であったかがわかります。

母親が献金ノルマに追い込まれて、個人的に借りたことも考えられますが、筆者は、教団の上の指示もあって借金した面もあるはずだと見ています。

なぜなら、昔から教団では献金ノルマのために、カードローンでお金を借りては返すことが日常茶飯だったからです。