筆者は10月初旬、ドイツ人男性と出張がてら日本国内を旅する機会を得た。男性は「日本での習慣を守るよ」と、いかなる活動の際もマスクを欠かさなかった。一方、筆者は元々呼吸器系が弱いこともあり、頻繁にマスクを外さざるを得なかった。

すると必ずといっていいほど不快感を示す視線をどこからか感じた。こうした状況を考えると、人々は「マスクをしていれば、周りの冷たい目から逃れられる」とばかり、ひっそりと着用し続けているようにも感じる。

10月11日には、ついに外国人個人訪日客、いわゆるインバウンドがある程度自由に国内に入れるようになった。厚労省は「マスクを外しても良い」と半年近くも前に方向性を示しているにもかかわらず、多くの人々は「外国人にもマスクをしっかりして日本を歩いてほしい」と願っていることだろう。

英国人はどうやって「脱マスク」していったのか

英国は今でこそマスク着用者がほとんどゼロとなっているが、「マスク撤廃をどうするか」と人々が迷った時期もあった。その頃の様子を振り返ることで、日本にとって脱マスクに向かう道のりへの参考になるかもしれない。

ロンドンでは2021年7月、新型コロナ対策の大半が終了。この時点では公共交通機関に乗る際や、屋内の公共施設ではマスク着用が必須とされた。その後の経緯をたどってみよう。

2021年12月……屋内の公共施設でのマスク着用義務は継続。大型イベントが再開されるもワクチン接種証明の提示が必要(2022年1月27日に撤廃)
2022年2月24日……感染後の隔離義務を撤廃。コロナにかかっても個人の判断で出歩けるように。
現在……マスク着用者はごく少数で、陽性でも当局に報告する義務はなし。ただし、スーパーや電車、バスなどの乗り物ではマスク着用者が最近まで多かった。