周辺は畑作地域なので強風が吹けば砂ぼこりが舞い、加えて分譲地内の空き地からは絶えず砂が側溝に流れ込み、そのまま放置していると砂泥となって堆積し、やがて側溝が詰まって排水不能になってしまう。

共用部分から荒れ果てる

そこでその分譲地では、地元自治会の枠組みとはべつに、簡易な管理組合(法人化はしていなかった)を設け、分譲地内の世帯を大まかに2グループに分けて、グループごとに月一度の側溝清掃の日を設けていた。

ところが、年月が経過し、管理組合の結成を主導した住民が高齢化すると、側溝掃除の体力面での負担も大きくなってきたので(腰が悪くて参加できなくなっていた住民もいた)、管理組合が徴収・管理していた積立金を利用して、側溝のふたを新たに設置することになった。

投機目的の乱売からスタートした多くの限界分譲地では、「街びらき」にあたるような機会がなく、世帯ごとに転入の時期も、またその動機もバラバラである。

合意形成に困難がともなうはずの分譲地で共用部の自主管理が可能だったのは、比較的戸数の多い分譲地であったこともあるが、まずベースとして、この八街の分譲地が地元自治会に組み込まれていて、ひとつの班として機能しており、住民どうしのネットワークが構築されていたからであろう。

そうでなければ、貸家の多い分譲地において、共同作業のみならず積立金の徴収をともなうような方法は、きわめて困難だったはずだ。じっさい、それができずに共用部が荒れるにまかせた限界分譲地はあまた存在するのである。

側溝は砂泥が貯まり、雨で冠水することも

一方、現在暮らす横芝光町の分譲地は、そもそも空き地の割合が八街の分譲地と比較して圧倒的に多く、50区画ほどある分譲地内に7戸の家屋が建ち、居住しているのは、わが家をふくめて5世帯しかない。

開発当初からの住民はおらず、少なくとも話を聞くかぎりでは、だれも自治会に加入しているようすはない。

たったの5世帯、しかも分譲から時をへて各戸バラバラの動機で転入してきた世帯のみでは、前述したような自主管理の組合などあるはずもない。ここは別荘地とはいっても、結局は売りっぱなしの投機型分譲地なので、一般の別荘地のような管理会社も存在しない。

その結果、分譲地の側溝は、すでに土砂に埋もれて排水機能が損なわれているところもあり、その補修をおこなうための地権者の合意形成も、もちろん絶望的である。

落ち葉が詰まって排水能力が落ちている側溝
写真=iStock.com/slobo
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じっさいのところ、不在地主たちはそのような共用部の劣化などいっさい把握していないので、杓子定規に合意形成などしなくとも、実生活における利害関係者が共用部の整備や補修をしたところでトラブルを招くことはほぼないとは思うのだが、結局、満足な整備はなされないまま、すでに開発から数十年の月日が経過している。

僕の自宅の前は無事であるものの、一部の空き地の前の側溝は地盤沈下によって損壊していて、排水機能がほぼ失われているところがある。これは多くの分譲地で見かける管理不全箇所の典型で、豪雨時における冠水の遠因ともなっている。