ノートを取ることができない大学生

情報の外部化に加えて、ノートやメモの取り方がわからない学生やビジネスパーソンも増えています。

たとえば、大学の授業でノートを取らずに講義を聴いている学生をよく見かけますが、多くの場合、彼らは「ノートを取らない」のではなく「取り方を知らない」のです。

ノートを取ることができない大学生に話を聞くと、「そもそもノートを取った経験がほとんどない」と言います。「中学や高校の先生からノートを取れと言われなかったのか」と尋ねると、「先生が穴埋め式のプリントを配っていたので、授業中に空欄を埋めていた」という回答でした。

最近は大学でも穴埋め式のプリントを作成・配付し、学生に記述させている講師がいます。本人はきめ細かい教育をしているつもりかもしれませんが、そのような授業を行っていると学生のメモを取る力は衰える一方です。結果、社会に出てから苦労することになります。

繰り返しますが、ノートやメモは「記憶を呼び出すための重要なトリガー」です。ノートやメモを適切に取れないと、それだけ記憶力も低下することになります。

レーニンに学ぶノート作りの極意

独学のためのノート作りに関しては、「レーニンのノート術」が参考になります。私の知る限り、レーニンはノート作りの天才です。また、革命という事業を成功させ、ソ連という国家を70年以上にわたって維持する基盤を構築したという意味で、レーニンは「一流の実業家」でもあります。

ロシアの革命家、政治家、ウラジーミル・レーニン=1918年1月1日
写真=SPUTNIK/時事通信フォト
ロシアの革命家、政治家、ウラジーミル・レーニン

地下活動を続けていた革命家レーニンは、いつも政敵に追われていたので本を所持することができませんでした。そこで彼は図書館を利用しながら、ノートに読んだ本の抜き書きをしていました。コメントなども付記しており、そのノートさえあれば正確なデータを復元できるというのがレーニンのノートの特徴です。

レーニンの読書術は、現代のビジネスパーソンにも応用できます。限られた時間の中で、自分のビジネスに役立つ知識をインプットし、本から得た知見を即、自分の血肉とする。学者の本の読み方とは少し違う、ビジネスパーソンならではの本との付き合い方には、革命家の読書術と相通ずるものがあります。