天引き=控除額(保険料・税金)はしめて13兆円増

給料から天引きされる控除額(公的保険料の本人負担分+所得税+住民税)は、合計すると次のとおりになった。1997年と2020年とを比べると、実に13兆円近くも増えた。

(1997年)
控除額30兆8162億円

(2020年)
控除額43兆6634億円(12兆8472億円増、41.7%増

この12兆8000億円というお金は、赤ちゃんを含めた日本の人口1億2000万人で割ると、1人あたり約10万7000円になる。思わずため息が出てしまう額だ。

【図表】給与総額と手取り総額の推移
筆者作成

社会保険料増加のせいで「手取り」は微増にとどまった

勤労者の手取り収入は、次のようになった。

(1997年)
給与の総額 211兆5080億円-控除額30兆8162億円=手取り収入 180兆6917億円

(2020年)
給与の総額 227兆1581億円(15兆6501億円増、7.45%増)―控除額43兆6634億円(12兆8472億円増、41.7 %増)=手取り収入 183兆4947億円(2兆8029億円増、1.5%増)

このように給与の総額は冒頭で触れたように15兆円増えたが、社会保険料や住民税などの控除額が12兆円も増えたので、結局手取りの増加は3兆円にとどまった。

天引き額=控除額が給与総額に占めるウエートも次のように上昇した。

(1997年)
控除額 30兆8162億円÷給与の総額 211兆5080億円=14.6%

(2020年)
控除額 43兆6634億円÷給与の総額 227兆1581億円=19.2%(4.6ポイント増)