事件が起きると慌てて献金を返す議員たち

関係を指摘されて「旧統一教会に関係する団体だとは思わなかった」「まさか支援者が旧統一教会の関係者だとは知らなかった」と言った「言い訳」はその後も続いている。知らなかったのだから、仕方がない、というわけだ。だが、支援者の素性をきちんと把握していなかったこと自体が問題なのだ。

いまの日本、特に自民党の国会議員と支援者の関係は「微妙」だ。その政治家と親しくなることで、何らかの便宜を受けようと近づいてくる支援者が多い。特に企業団体献金が禁止されていない日本では、多額の献金をしたり、パーティー券を買ってくれる相手の要望に答えることが半ば「当たり前」だと思っている議員が少なくない。だから、何か意図を持って近づいてくる支援者への対応が「甘く」なるのだ。

何か事件が起きると、その容疑者から受け取っていた寄付金を慌てて返金する議員が出てくるが、これも議員事務所側の危機管理が「甘い」結果と言える。

なぜこれだけ幅広く自民党議員に浸透したのか

旧統一教会がこれだけ幅広く自民党議員に「浸透」していたのは、教団の明確な意図があったからだろう。それが宗教上の信念かどうかは別として、多くの議員を通じて日本の政治に影響力を与えようとしていたとみるべきだ。

韓国や北朝鮮との関係が深い旧統一教会が、外国政府の意思を受けて日本の政治家に近づいていなかったと断言できないだろう。最低でも、日本の宗教法人として免税措置など様々な恩恵を受け続ける上で、文部科学省の許認可権に影響を行使できる与党政治家に近づくメリットはあったと見ていい。つまり、単に「熱心な支援者」「他と変わらない支援者」というわけではないのだ。

国民の批判が収まらないのは、旧統一教会が自民党議員を浸食していった背景には、そうした意図があったと感じているからだし、自民党議員側も旧統一教会のために何らかの便宜をはかっていたのではないかという疑念があるからだろう。それがすべて明らかになるまで、この問題は収まらないに違いない。