実は注意が必要な「世田谷区」

内陸の標高の高い地域にも、浸水リスクの高い土地は存在します。

東京都世田谷区の標高は25~50メートル程度と高いものの、非常に起伏が激しい地形で、ハザードマップを見ると浸水可能性のある土地が多数存在します。

黄色の地区では、大雨が降った際に0.2~0.5メートルの浸水可能性があります。

水深0.5メートルといえば、車が浮き、パワーウインドーが作動せず、車の中に閉じ込められ、流されてしまうこともある、非常に危険なレベルです。

また、水色の地区では1~2メートル、青色の地区ではなんと2メートル以上の浸水が予想されています。

世田谷区は内陸部で標高が高い土地ですが、その割に浸水リスクが高いのは、「ゲリラ豪雨等による多摩川の氾濫」が想定されているからです。

東京など都市部の場合、雨水の排水処理能力は1時間あたり50~60ミリ程度を想定しています。ただ、昨今のいわゆる「ゲリラ豪雨」では、時間当たり雨量が100ミリを超えることも少なくありません。

排水能力を超える降雨に見舞われた際、処理しきれない雨水や下水が排水路から水があふれます。その場合、たとえ標高が高くとも、周辺の土地に比べて相対的に低い所には水が集中します。

地名に「沢」のつく世田谷区深沢には、ここ数年で何度も浸水している一戸建てがあるそうです。

杉並区のような内陸部でも、こうした都市型の洪水が発生する可能性があります。

実際、2005年9月には、杉並区で時間雨量110ミリを超える集中豪雨が発生。内水氾濫と河川の氾濫による水害が並行し、大きな被害がもたらされたことがあります。