心が折れてしまったとき、どのように立ち直ればいいか。元陸上自衛官のぱやぱやくんは「防衛大では、自衛隊を目指す優秀な学生でも途中で脱落してしまう人が続出した。三流高校出身で落ちこぼれだった私が通い続けられたのは、自分に期待するのをやめたからだ」という――。

※本稿は、ぱやぱやくん『弱さを抱きしめて、生きていく』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

防衛大学校本部
防衛大学校本部(写真=あばさー/PD-self/Wikimedia Commons

防大は「エリートますらお養成校」

防大は陸・海・空各自衛隊の幹部自衛官となる者を教育訓練する防衛省管轄の学校です。諸外国では、士官学校に該当します。もう少しわかりやすく言うと、防大は「自衛隊のリーダー育成」の学校です。自衛隊のリーダーになるためには、ざっと次の能力が求められます。

・厳しい環境でも乗り越えられる体力
・どんな時でも適切な判断ができる知力
・苦しい時でもへこたれない精神力
・メンバーを引っ張ることができる統率力

自衛隊は、有事の際には砲弾が飛び交う戦場に行く必要があるので、何事にも屈することがなく、任務遂行できる人材が求められます。防大はそうした究極のストレス下でも戦うことができるような有望な若者を集め、教育しています。

力強く立派な人を「ますらお」と言いますが、防大は「エリートますらお養成校」です。教育カリキュラムや生活面は一般大学とは比較にならないほど厳しく、心身ともに鍛えられます。

重視されるのは整理整頓、服装の手入れ

「得意なことは得意」「苦手なことは苦手」と特徴がハッキリしている私が防大へ進学してどうだったか? もちろん、あっという間に落ちこぼれました。情けない話ですが、正直なところ学生生活初日で「この学校は卒業できないな……」と思ったのです。それほど生活のハードルが高く、厳しい学校でした。

防大では、あらゆる場面で厳格な規則が設けられています。たとえば、小銃などの武器をはじめ、爆薬などといった火薬類の管理。そういった武器類の紛失は、当然ながら許されません。たとえ訓練であっても、少しのミスで大事故に発展することもあるからです。

また、服装や規律の乱れは、「自衛隊は信用できない」という意見にもつながりかねず、国民からの信頼をすぐに失ってしまいます。ですから、「整理整頓」や「服装の手入れ」が非常に重要視されています。そうした事情から、未来の自衛隊幹部候補生は、かなり厳しく教育されていました。