7月31日

ウクライナ本土から約170キロメートル離れたクリミア半島セバストポリ市にあるロシア黒海艦隊司令部が改造ドローンによって攻撃され、6人が負傷。ロシアの海軍記念日に予定されていた祭典が中止に追い込まれる。

8月9日

ロシアが占領するクリミア半島のサキ軍用空港で複数の爆発が起き、1人が死亡、14人が負傷。ロシア空軍の戦闘機9機以上を破損・破壊した。ロシア空軍がウクライナを空爆する出撃拠点だった。前線から最短でも200キロメートル以上離れており、ハイマースから地対地ミサイル「MGM-140 ATACMS(エイタクムス、射程300キロメートル)」が発射された可能性が取り沙汰される。

8月10日

ウクライナ軍がヘルソン州でドニプロ川のカホフカ橋を攻撃し、通行不能にする。

8月11日

ベラルーシの2つのテレグラムチャンネルが、ウクライナの国境から約30キロメートル離れたベラルーシ南東部ホメリのジャブラウカ軍用空港近くで夜、少なくとも8回の爆発音が聞こえ、閃光が見えたと伝える。この空港もウクライナ空爆の出撃基地だった。ベラルーシ国防省は10日午後11時ごろ、軍用車両のエンジンが炎上したとの声明を発表していた。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が、当局者が戦術について報道陣に話すのは「正直言って無責任」と箝口令を徹底する。

どの兵器でどう攻撃したかは「藪の中」だが

クリミアのサキ軍用空港攻撃の宣伝効果について、西側軍関係者は英紙フィナンシャル・タイムズに「グランドスラム(スポーツで主要大会の優勝を独占すること)とゴルフのホールインワンと終了間際の逆転ゴールを合わせたぐらい」と語っている。しかしウクライナ軍がどの兵器を使って、どのように攻撃したのか、真相は「藪の中」だ。

ゼレンスキー氏が箝口令を敷く前には、ウクライナ内務省の元顧問ビクトル・アンドルーシブ氏はテレグラムに「射程200~300キロメートルのミサイルはすでにわが国に配備され、使用されている。今日クリミアで起きた爆発はその証拠だ」と投稿。ウクライナ軍高官は米紙ニューヨーク・タイムズに「もっぱらウクライナ製の装置が使用された」とだけ述べた。

露海軍黒海艦隊旗艦のミサイル巡洋艦モスクワ(約1万2500トン)を撃沈したウクライナ製の対艦巡航ミサイル(射程300キロメートル)を対地攻撃に使用したとする説には、海上と違って障害物が多い陸上で上手く使えるのかという疑問が残る。ウクライナが開発する短距離弾道ミサイル「Hrim2」(最大射程500キロメートル)は実績が不足している。