上位10社中4社が米系企業──。なぜ日本の会社は「働きがい」が足りないのか。人材マネジメント研究の第一人者が、その理由と対策を解説する。
調査概要/プレジデント編集部で、日本CHO協会に登録する人事関係者、人材会社関係者約1800人を対象に調査を実施。期間は2010年3月12~19日。有効回答者数は241人。回答者は各業種ごとに、業績などを基に選出した企業の中から1社とその理由を選択。さらに、各業種で選択した企業の中から最も働きがいのある企業1社を選択した。

今、「働きがい」に対する関心が高まっている。その背景には経営環境が厳しくなり、また従業員の働きがいに対する価値観が多様化するなかで、会社として働きがいを与える従来の方法論が通用しなくなってきていることがある。その意味では、働きがいのあり方を考え直す時期に入っているといえよう。

「プレジデント」誌では日本CHO協会の協力のもと、各企業の人事関係者などを対象に「働きがいのある企業」に関するアンケート調査を行った。今回の調査における「働きがい」とは、以下の7つを指す。

1.働く人が、仕事に達成感を感じて、活き活きと働いている
2.働く人が、人材として成長する機会が与えられ、そのことを喜びと感じている
3.働く人が連帯感をもち、お互いに協力する雰囲気が強い
4.経営陣が信頼されており、組織へのコミットメントが高い
5.働く人が自分の仕事にプライドをもって働いている
6.働く人が将来に対して希望をもって働いている7.多様な人材が登用され、そこから活気が生まれている
図を拡大
総合ランキング

また、働きがいと同様に関心が高まっている概念に「働きやすさ」がある。ワークライフバランスや長時間労働が話題になるにしたがって、多くの企業が関心をもち始めているようだ。

働きやすさと働きがいとは、何が違うのか。私は、働きがいが、人材を前へ前へと押し出す力だとしたら、働きやすさは、働く人の意欲や活性化を邪魔するマイナス要因が少ない状態だと考えている。

例えば、キャリアの今の段階では子育てに専念しておいて、子供がある程度手がかからなくなったら、再びキャリアに専念したいと考えている人がいたとする。働く人が、こうしたバランスの選択をできるようにする仕組みは、働きやすい職場を提供する。また、同時に働きがいも与えることができる。逆に、両方とも中途半端にしか実現できないような職場は働きにくく、働きがいも低い。