実際、今、経営戦略として、働きやすさと働きがいの両方を追求することで競争力を確保する企業が多くなっている。米「FORTUNE」誌2010年2月8日号に掲載された「THE 100 BEST COMPANIES TO WORK FOR!」(働きがいのある会社ベスト100)に登場する、グーグルやマイクロソフト、SASインスティチュート(米計算用ソフト会社)などのIT企業の一部が良い例である。

こうした企業では、チャレンジしがいのある仕事や厳しい成果主義と公正な評価を通じて、従業員に働きがいを提供し、同時に厚い福利厚生でそうした成果達成への阻害要因を減らしている。長期の休暇や徹底した裁量労働制、社員間のコミュニケーションの場やフィットネス施設などがしばしば紹介される。

働きがいと働きやすさは、表裏一体のものである。働きがいを追求するためには、働きやすさを提供しなくてはならないし、また働きやすさを提供しても、働きがいがなければ、ただの“従業員に優しい会社”である。

日本では政府の後押しもあって、過去10年ほど、家庭と仕事の両立支援策の推進や有給休暇の消化率の向上など、ワークライフバランスを熱心に進めてきた。しかし、例えば、働き方の選択肢が自由で柔軟性が高い場合、その企業にい続けたいとは思っても、必ずしも、それが自らの仕事に打ち込む意欲の源泉となるかどうかはわからない。

※すべて雑誌掲載当時

(溝上憲文=構成 的野弘路、増田安寿=撮影)
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