「レジ係でも首相になれるフィンランドを誇りに思う」

サンナ・マリンは政治家として着実にキャリアを築きながら、プライベートでもライフイベントを重ねている。国会議員になった後の2018年1月には長年のパートナーとの間に娘が生まれ、半年間の産休と育休を取得。パートナーも彼女が育休を終えた時に、入れ替わる形で半年間の育休を取得している。その後、首相になり新型コロナウイルスの第1波が落ち着いた2020年8月1日、2人は正式に結婚した。

事実婚が多いフィンランドでは、結婚のタイミングも人それぞれだ。親の結婚の有無は子どもの権利に影響しないため、長年連れ添って子どもがいても、結婚していないというカップルは珍しくない。それぞれが仕事を持ち、子育て支援制度や互いの両親の協力を受けながら、平等に、そして一緒に子育てをしていきたいという、現代のフィンランドらしいマリン首相夫婦の考えは、様々なインタビューや実際の行動からも伝わってくる。

とはいえ、首相の仕事は激務である。彼女が首相に立候補する際、夫は「僕とお義母さんたちとで支えていくから心配しなくていいよ」と全面的に協力することを伝えたそうだ。

マリン首相は母乳を与える様子などをSNSに投稿する一方で、率直にメッセージも発信している。例えば、首相就任直後、エストニアのある大臣が彼女のことを「レジ係」と呼び、中傷したとの報道があった。すると彼女はツイッターに「フィンランドを誇りに思う。貧しい家庭の子でも十分な教育を受けられ、店のレジ係でも首相になれるのだから」と投稿した。

店のレジ係の女性
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「社会の強さは最も脆弱な人たちの幸福によって測られる」

年齢や性別に関する質問に対しては、彼女の答えは「年齢や性別を意識することはあまりない」と一貫している。2020年の世界経済フォーラムのダヴォス会議で同様の質問があった時も、マリン首相は「私たちは普通の政府です。女子更衣室で雑談しているのではありません」と返した。

そして2020年の新年の国民に向けての挨拶では、「社会の強さは、最も豊かな人たちが持つ富の多さではなく、最も脆弱ぜいじゃくな立場の人たちの幸福によって測られます。誰もが快適で、尊厳のある人生を送る機会があるかどうかを問わなければなりません」と締めくくっている。