何でも「○○ハラ」とレッテルを張る行為もハラスメント

セクハラ、パワハラ以外にもマタハラ(マタニティー・ハラスメント)やアカハラ(アカデミック・ハラスメント)、煙草の煙に対するスモハラ(スモーク・ハラスメント)など多くの○○ハラが増えました。とはいえ、今は少しでも不快なことがあると「それって○○ハラだよね」と何でもハラスメントに結び付ける人が多いような気がします。

たとえば、臭いに対するスメハラ(スメル・ハラスメント)。強烈な香水を使用していたり、悪臭を放つ食材などを持ち込んだりしているのであれば「スメハラである」と注意しても良いでしょう。しかし、体臭のように本人の意思に関わらないものまでもハラスメントとして糾弾するのは問題です。その糾弾する行為そのものがパワハラとなる可能性があります。

香水を使用する女性
写真=iStock.com/Born to be blue
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また、ささいなことでも大げさに「それ○○ハラ」といってレッテルを貼る行為もそれ自体がハラスメントになるかもしれません。まさにハラハラ(ハラスメント・ハラスメント)といってもよいでしょう。自分は冗談で「それって○○ハラだよね」といっても、本当にそうなのか判断するのはいわれたほうです。“ハラハラ”にならないように注意しましょう。

相手を尊重した上での指導はハラスメントにはならない

まず、理解しておきたいことは、何でもかんでも“ハラスメント”になるわけではないということです。たとえば、業務上必要なことと認められるのであれば、ハラスメントではないのです。本来は必要ではない、余計なことを付け足したり、やり過ぎたりするからハラスメントになるのです。

そして、それを受け入れられるかどうかは自分では決められないということです。同じセリフ、同じ方法だとしても、誰に言われたかによって“コミュニケーション”と“ハラスメント”に分かれるからです。したがって、信頼関係の度合いに応じて指導方法やコミュニケーションの取り方を変えるなど工夫することが必要です。

信頼関係を築いていなくても、相手の人格を尊重したうえで業務に対する指導を行うのであればハラスメントにはなりません。ハラスメントを恐れるあまり「指導ができない」なんてことにならないよう、何がハラスメントになるのかを理解しておくことが肝要です。