教授はさらに、前の世代と比べると、現代人は学習や余暇を通してより複雑な情報にたくさん触れるようになったこと、そして、科学的に分析したり、論理的、抽象的に思考したりする必要がある仕事が増えたことなどで、脳が鍛えられ、IQが急激に向上したといいます。また知的能力の向上は、2世代、3世代という短いスパンでも見られるそうです。

つまり、フリン効果から考えると、生まれたときからより先進的な技術が周囲にあふれている世界で成長した子ども世代は、親世代よりも優秀な知能を備えうると考えられるのです。

学校教育もアップデートされている

さらに、40~60代が受けてきた学校教育と、10~20代が現在受けているそれとでは、授業内容は大きく変わり、レベルも大きく向上しています。教え方も、相当程度アップデートされています。

勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない』(プレジデント社)
勝間和代『できないのはあなたのせいじゃない』(プレジデント社)

公立の学校であっても、小学校からネイティブの教師が英会話を教え、授業もパソコンでパワーポイントや動画を使って、より効率的に学んでいます。

小学校から英語やプログラミング教育が必修になったことも、大きな変化です。2022年度から、高等学校ではネットワークデザインやプログラミング、データベースの基礎を学ぶ「情報Ⅰ」という科目が必修として加わりました。

この先、こうした新しい教育を受けたデジタルネイティブ世代が、前の世代とは大きく異なる知的能力を発揮するようになるかもしれません。

にもかかわらず、親たちが「自分が若いころは……」と古い常識や価値観を押し付けてしまうことで、どれだけ我が子を不利にしてしまうか、想像に難くありません。

愛情深い親ほど、強い洗脳をかけてくる

やっかいなのは、親たちは子どもを大切に思い、「よかれ」と思って自分の価値観や考えを子どもへ注ぎ込んでいる点。親に悪意があれば、子どもは反抗し、はねつけることもできます。そんな親を反面教師にすることもできるでしょう。

ところが、善意からの言動は、はねつけるのが難しくなるものです。そのため、親が善良であればあるほど、子どもたちの無意識の深いところに強固なブレインロックがかけられてしまう傾向があります。

また、直接言葉で伝えていなくても、その家の生活習慣や親の行動から、無意識のうちに子どもにブレインロックをかけてしまうこともあります。