同じ仕事なら「若くて、安い人」に頼みたい

ところが、せっかく頑張っても、その仕事が永遠にあるという約束はまったくありません。そこに原価人材の悩みがあります。

そもそもコストとしての仕事については、同じ生産性なら「若くて、安い人」に頼んだほうが良い。これが、一般職においては年齢を重ねるほど転職が難しくなる理由です。

また、社内で行っていた業務が外注されてしまうこともあります。

昨今よく起こっているのは、これまで人力で行っていた作業がRPAなどで機械化、自動化されてしまうことです。

原価人材である限り、コストとしての仕事をしているので、どこまでいっても「安いほうがよい」という企業の理論から抜け出すことはできません。そこから脱するには「販売管理費人材」になる必要があります。

ビジネス本を読むことより大事なこと

Aさんが昇進を希望する主任・係長職、また課長職は、「販売管理費人材」に当たります。

この人たちは収益UPに直接関わる付加価値を創出する立場の人をさしています。多くの企業においては、チームのリーダー的役割も任されます。

つまり、「言われたこと(だけ)をやる人」から、「任された業務において、自ら試行錯誤して付加価値を生む努力」「一緒に付加価値を生む同僚たちを巻き込んで、業務をよりよく進めるリーダーシップ」になることが大事なのです。

リーダーシップの本、課長のための本などを読んで学ぶことも大切ですが、本だけ読んでもダメですよ。実際に行動してナンボ、です。

Aさんはとても誠実にしっかりと業務をされてこられた人ですから、そのAさんが意識を変えれば、大きな付加価値を出していただけると思います。周囲のAさんを見る目も、かなり変わるでしょうし、課長への昇進もそう遠いものではないと思います。

課長どまりの人と部長に昇進する人の決定的な違い

法人向け商材を扱うシステム系会社の営業マネジャーを務めるBさん(45歳)。マネジャー昇進以来、課の業績は常に全国上位に入っており、厳しい市況の中でもおおむね予算達成を続けています。

そんなBさんに、なかなか部長昇進の声掛けがありません。しかも今回の定期異動で、自分よりも平均業績の低いCさんが、隣の部の部長に昇進したのです。

「えっ、どうして?」

思わず頭に血が上ったBさんは、すぐに上長でもある執行役員営業本部長に、異議申し立てのメールを送信しました。

握りこぶしでテーブルを打つビジネスマン
写真=iStock.com/Viorika
※写真はイメージです

課長から部長に昇進する人とそうでない人の差は、「販売管理費人材」から「投資科目人材」へと転換できた人か否かです。

投資科目人材とは、「何をやらなければならないか」を設計し、それを実行するために組織を動かせる人材を指します。