マーケッターの眼

「これがいい」ではなく「これでいい」をコンセプトに伸びた無印良品。CM解禁で今後の戦略に注目。

生活雑貨部門では、各ブランドで評価されるポイントに違いが出た。1位の無印良品は、「品質」と「妥当な価格設定」で高評価を得た。まさにブランドのコンセプトどおりの評価をされたといえる。

無印良品のコンセプトは、「これがいい」より「これでいい」。前者はブランドを前面に押し出して訴求する戦略だが、後者はブランドのプレミアム感に依存せず、高品質商品を納得のいく「いい値」で提供する戦略だ。逆説的だがブランドに頼らない姿勢が、無印良品のブランド力を高めている。

ただ、この戦略も微調整を余儀なくされている。無印良品は、「これでいい」と本質的に相容れないテレビCMはこれまで打ってこなかった。しかし、ここへきてCMを解禁した。ブランドイメージより販売促進を選んだのだ。

無印良品が取り扱う商品ジャンルは幅広い。そのため、洋服ならユニクロ、家具ならニトリというように、いいものを安く売る専門店が各ジャンルで伸長し、顧客を奪われている。この状況を考えればCM解禁も致し方ないが、ブランドのコンセプトが曖昧になるリスクを考えると危険な賭けだ。

2位の東急ハンズは、「品揃え」でトップ。他店では扱っていないニッチなグッズも置いてあるというロングテールを狙ったリアル店舗での品揃えと熟練した店員の接客サービスが生命線である。品揃えの評価が突出しているのも納得だ。3位のロフトは、レーダーチャートが示すように、東急ハンズと似たイメージでとらえられている。後発であるため各項目でハンズに少しずつ届かなかった印象だ。