「勝ち負け」より「期待感」を

「この仕事に力を尽くしたか?」
「あの人に誠意をもって付き合ったか?」

自分のなかで精一杯やった、気持ちを込めて持てる力を出し切った、そうした「納得感」があるなら、それでもう十分です。

世間的には負けたという評価をされても、自分のなかに全力投球したんだという納得感があれば、本当の負けにはなりません。

勝ち負けではなく、納得感を持つ。常に納得感があれば、勝ち負けの価値観が持つ不自由さからは解放されます。そして、どんな結果であっても穏やかな心でそれを受け入れ、のびやかな気持ちで人生を謳歌おうかできることでしょう。

建巧寺にて
写真撮影=永井浩
建巧寺にて

わからないことは放っておく

ストレスの多いこの社会で心を少しでも軽くして生きていくには、「放っておく」ということが必要だと私は考えています。

「放っておく」と聞くと、あまりいいイメージが湧かないかもしれません。よからぬことを前に知らん顔をする、やるべきことを途中で放り投げる、仕事で対応を迫られているのにさぼる……怠慢とか無責任とか冷淡とか、そんなことを連想してしまう人もいると思います。

たしかにこのような「放っておく」は好ましいものではありません。

しかし、世の中には「放っておく」ことによって、よい結果を招くことはたくさんあります。たとえば「わからない」こともその1つです。