「道」を選んだあとでいかに努力するか

反対に、損と思えた選択が、あとになってみるとそうではなかったということもいくらでもあります。不本意ながら入った会社で、思いがけずいい人といい仕事に出会い、運勢が開けたといったこともよくある話です。

このように損か得かという判断はまことに当てにならないものです。この世のすべては常に変化していますから、損か得かという状況がくるくる変わるのは当たり前のことなのです。

人の運命は、目先の損得勘定などに収まるような小さなものではありません。

大道通長安だいどうちょうあんにつうずという禅語があります。どの道を選ぼうと、幸せや真理に通じているという意味です。大切なのは、道を選んだあとでいかに努力をするか、生きるかです。

自分がなすべきことをただひたすらやる。すると結果として、その人にしかない「道」が生まれるのです。そのことをしっかり胸に刻んでいただければと思います。

損得で人と付き合うと卑屈になる

損得勘定ばかりで動いていると、ふだんの人との付き合いまで損か得かで判断するようになります。

「あの人と付き合っておくと得だから、ずっといい関係でいよう」
「この人は付き合っても得なことは何もないから、もう会わなくてもいいや」

仕事に役に立つと思えば積極的に人間関係を築こうとするのに、たいして得にもならないとなると冷淡な対応をする。

しかし、人間関係は損得勘定を前提にしてはいけないと思います。

得になるからといって付き合えば、相手に対してはびたりへつらったりして、態度や振る舞いが卑屈になっていきます。どこかで自分を偽って相手と向き合っているわけですから、そんな付き合いは、どこまでいっても心が通わない上っ面のものでしかありません。