「『誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ』と父は言った。『世間のすべての人が、おまえのように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと』」(スコット・フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』より)

アメリカ文学の名作『グレート・ギャツビー』には、米国上流階級の若者たちの生き様が描かれている。今年1月、米・経済諮問委員会の委員長・アラン・クルーガー氏が、格差の拡大と固定化を示すグラフを公開、これを「グレート・ギャツビー・カーブ」と名づけたことが話題になった。

このグラフは、横軸に貧富格差の大きさを表すジニ係数、縦軸に親と子の所得の連動性を表す数値が取られている。右上になるほど格差が大きく、かつ、貧乏な家の子が努力で金持ちになるのが難しいという意味で、米国は先進国の中でもっとも右上。誰にも平等にチャンスがあるという“アメリカン・ドリーム”はもはや幻だ。

さて、日本はというと、ジニ係数は高いが、親子の所得連動性は米英仏を下回る。ただし、今後はどうか。米コロンビア大学教授のスティグリッツ氏は、所得格差拡大の要因の1つとして貿易自由化を挙げている。発展途上国の非熟練労働者と先進国の非熟練労働者との競争が起こるからだ。

日本は昨年TPP参加を宣言したばかり。セーフティネットの拡充や教育による熟練労働者の増加などの手を早々に打たねば、米国と同じ道を辿る可能性もある。日本版『グレート・ギャツビー』の結末はいかに。