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2011年10月、デンマークで世界初の「脂肪税(Fat tax)」が導入された。動物性脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸を2.3%以上含む食品に課税される。対象となる食品はバター、チーズ、牛乳、ピザ、ハンバーガーなど幅広く、マクドナルドのハンバーガーは約20円値上げされた。

これは局地的な現象ではない。社会保障費の増大と財政赤字に悩む欧米各国が、医療費抑制と税収増の一石二鳥を狙い、脂肪税導入に躍起になっているのだ。たばこ税とも似た理屈である。ハンガリーではスナック菓子や炭酸飲料などの嗜好品への課税(通称「ポテチ税」)が始まり、フランスでは糖分が多い炭酸飲料水への課税(通称「ソーダ税」)が検討中だ。

実際、日本で肥満税が導入された場合、効果があるのか。東邦大学医療センター大森病院・糖尿病代謝内分泌科教授の芳野原氏は「100kg以上の高度肥満の人に対してなら、肥満対策になりうる」と話す。こうした患者は日常生活の活動性を肥満が妨げていることに意外と気づかないため、食品への課税がダイエットのきっかけにもなる。

日本の成人の肥満率は3.9%と、米国の33.8%や英国の23.0%に比べればはるかに低い。だが、「日本人は欧米人に比べ、同じ高度肥満であれば早く糖尿病になってしまうことが疫学検査で明らか」。

さらに芳野氏は、「肥満治療の現場からすると、肥満税は減量のきっかけにすぎない。むやみに食欲を刺激するテレビ番組も健康には良くない」と釘を刺す。「たばこ」の次は、「脂肪」の肩身が狭い時代がくるかもしれない。