最新GPSを搭載した小さな漁船が大型船から数百万ドルを巻き上げる――これが最新の海賊の姿だ。

人質を乗せて逃げるソマリアの海賊船(2011年9月:PANA=写真)。

21世紀型海賊とは、アデン湾を中心に活動するソマリアの海賊を指す。この地域は有史以来海賊が存在してきたが、船の積み荷を強奪するというのが従来の手法だった。しかし今は、乗員を拘束して身代金を奪うのが目的。ただし、イスラム圏であるため、相手からの攻撃がなければ命は取らない。

特徴は、ハイテクを最大限に利用することだ。「海賊が狙ったマグロ漁船が、実は象牙の密輸船だったことがある。海賊はGPS等を使って『どんな船なのか』を正確に把握して襲っている」(東海大学海洋文明学科教授・山田吉彦氏)。身代金の受け渡しには、海域の場所を指定、そこに身代金を落とさせ、GPSレーダーで回収する。船会社側は、強固な防壁と通信設備を備える「シタデル」(船内に篭城する設備)を設けるなど、海賊対策を始めている。

しかし、実は海賊をなくすためには“海”からではなく“陸”からのアプローチが不可欠だ。ソマリアは1991年以来無政府状態。これを健全な国家にしないかぎり、根本的な解決にはならないのだ。ソマリアは世界最貧国の一つであり、かつ激しい飢饉にさらされている。他国の船団に近海の魚を根こそぎ奪われた漁師は海賊にならざるをえないという背景があったわけで、民衆も海賊を守ろうとするのは当然の帰結だ。

「国際社会に置き去りにされていた国が牙を剥いたともいえる」(山田氏)。

21世紀型海賊は、人々の“正義”を問うているのかもしれない。