アプリ立ち上げ時に許可を選べるようになった

ただ、アプリ制作側としては、ユーザーの個人情報は広告配信のターゲティングに有効活用できるため取得したいのが本音で、オプトアウトの設定をなるべくわかりにくい位置、設定画面の中のセキュリティの中などに設けていたのです。

しかし、Apple社がオプトアウト方式からオプトイン方式に変更したことで、今はアプリを初めて立ち上げたときに、ユーザーにIDFAの活用を認めてもらわなければならなくなりました。それで最近はアプリを立ち上げたときに「あなたに最適な情報を提供するために個人データを活用しますか?」といったポップアップが表示されるようになったのです。

当然、そのような許可を求められたら、個人情報を出したくないので拒否する人が増えるのは容易に想像できます。これにより活用できるデータが減ることで、インターネット広告のターゲティングの精度は落ち、計測においても十分なユーザー情報が得られないため、精度が落ち、管理コストも増大すると予測されています。

cookieの制限により計測精度が落ちてしまう

もう1つ、IDFAだけでなく、ブラウザ上のcookie(クッキー)の活用も制限される動きがあり、これもインターネット広告のターゲティング精度や計測に大きな影響を及ぼすと考えられています。

cookieとは、Webサイトに訪れたユーザーに関する情報を一時的に保存する仕組みです。例えば、ショッピングサイトにログインするとき、以前に入力したログインIDやパスワードが表示されていることがありますが、それはcookieによってサイトがユーザー情報を保存しているからです。実際、cookieが活用されることによってサイトへのログインがスムーズになったり、カートに入れた商品が購入せず時間が経ってもカート内に残っていたり、サイトの使い勝手がよくなります。

しかし、以前から、個人情報保護の観点からユーザーデータを自由に活用することに対して疑問視する声が上がっていました。

cookieの活用が制限されると言っても、そもそもはWebサイトを円滑に閲覧するために大切な仕組みのため、すべてが制限されるというわけではありません。