みうらじゅんは、来た日から邪魔で、面白かった

文章ではないところでいうと、誰を好きで、誰に好かれているかというのは、けっこうみんな無意識で見ていると思います。ほぼ日ではおなじみのみうらじゅんは、いろんなことをやっていながらもやっぱり魂があるんですよ。みうらは昔に僕のところでアシスタントをやっていた石井君の友達でね。石井君が「面白いヤツがいる」と言って連れてきたのが、同じアパートにいたみうらでした。「みうらが来たいと言っているんですけど」と言われたから「ああ、いいよ」と答えたら、来た日から邪魔だった(笑)。

でも、邪魔だけど面白いんだよね。何をしたら間違わないかと思って礼儀正しくしてる人より、やりたいことをやっちゃう人のほうが何かを表している。なおかつ、石井君がみうらをかばおうとしているのがわかるから、もうそれでOKでした。だからいい人かどうかは自分で決定しているんじゃなくて、自分と誰かで決めているんじゃないかな。それはみんなやっていることだと思います。

ほぼ日社長の糸井重里さん
撮影=西田香織

——魂というのは、特定の価値観やバイブスがあるということではない?

【糸井】ないですね。自分にないものを持っていて、いい人だったら一番いいですよね。このあいだほぼ日に入ってきたアルバイトの子は、1週間にいっぺん髪を染め直してくるんです。アルバイトだからそういうことしないほうがいいかなとか、考えもしない。それはもうOKでしょう。

なぜ「ほぼ日」には人気ランキングがないのか

——ほぼ日の學校」には人気ランキングがありませんよね。ほぼ日のサイトにもありません。これは人気ランキングに頼るのではなく、「ほぼ日」としての価値を見せたいという考え方なのでしょうか。

【糸井】ランキングの順位というのは、僕らが内々でわかっていればいいことだと思っています。「みんなが見ているのはこれですよ」というのはやりたくないんです。人によっておもしろいものは必ず違うずなので。

——すごくストイックですね。

【糸井】自分でもすごいと思います(笑)。「こんなにみんなも見ているし、今まで見ていなかった人も見れば」というのはやっています。適度にね。でもその程度ですね。順位でやるのは違うと思うんです、やっぱり。B面が好きな人みたいな、マニアックなエリート主義にはなりたくないんです。

たとえば「ビートルズの島」というカテゴリを作ろうと思っているんですけど、最初から作るのはやめたんです。マニアの人が集まる場になってしまいそうなので。それよりは、学校だから、昼休みに食堂で演奏会をやりますよというのもありだなと思って、いずれ作りたいと思っています。