「強み」を生かせるか

京都は、このまま沈みゆくのだろうか?

復活の芽がないわけではない。財政再建についていえば、やりきるには相当の返り血を浴びるトップの覚悟が必要だが、他都市並みの水準まで人件費やサービスレベルを引き下げれば、実はある程度めどが立つ。人口減少対策は、地価を安定させることが求められるが、定住促進戦略でいえば、京都は他都市に比べて優位なポジションにある。

転勤などを除き、人は知らない都市、訪れたことのない都市に引っ越したりはしない。そのため、全国の自治体が進める定住促進対策は、まずは知ってもらい、その町のファンを増やそうと「まず一度わが町を訪れてください」となる。流動人口(来訪者)や応援人口を増やすというのが基本戦略なのだ。

その点、京都市の場合は恵まれている。

京都を知らない人はまずいない。そして、多くの日本人が訪れたことがあり、京都の持つブランド力に憧れを持つ方も多い。意外に語られないが、観光は定住促進の突破口にもなるわけだ。

京都タワーがある風景
写真=iStock.com/1130715784
※写真はイメージです

こうした素地を生かし、定住促進政策を積極的に展開すれば、他都市に比べ優位に進められることは間違いない。

過去の遺産に胡坐をかいた結果…

政令指定都市の中では沈下傾向にあるとはいえ、任天堂や京セラ、日本電産などに代表されるように、日本有数の企業も多く、恵まれた条件がそろっている。歴史都市・京都の観光資源もブランド力も健在だ。これらのことを考慮すれば、復活に必要な素材は十分すぎるほどある。本来ならば。

ところが、京都では「過去の遺産に胡坐あぐらをかいてきた」という街の声を聞くことが多い。まさしく、これが京都市凋落ちょうらくの真因といえるかもしれない。

財務処理手法の問題、過剰投資、人口減などの社会変化に対応できず、かつて夕張市は破綻した。すべては当時の政治判断の誤りによるものだった。現在の京都市は、夕張破綻から何も学んでいないと言うほかない。

しかし、政治判断のミスで追い詰められたこの状況を乗り越えるのも、また政治判断でしかない。トップのリーダーシップが強く問われている。

【関連記事】
「お金が貯まらない人の玄関先でよく見かける」1億円貯まる人は絶対に置かない"あるもの"
銀座ママの証言「仕事のデキない人ほどよく買っている"あるもの"」
「仕事やお金を失ってもやめられない」性欲の強さと関係なく発症する"セックス依存症"の怖さ
コロナ禍なのに京都で超高級ホテルの開業ラッシュが起きている本当の理由
「激臭のゴミ山の上に布団」都内の高級住宅街に住む元教員の異様な暮らしぶり