さながら現代によみがえった「ビートル タイプⅠ」

新型ゴルフに設定されたもうひとつのパワートレーンである、直列4気筒1.5l+48Vマイルドハイブリッドシステムモデルの走りは、体感上の出力・トルクの力強さや滑らかさで比較すれば1.0lモデルの40%増しとの印象。高速道路や多人数乗車時など車両への負荷が高いほどその差は拡がる。

また、リヤサスペンション形式が1.0lのトーションビーム方式からマルチリンク方式になったことで、連続するカーブを走行する際の粘り強さも勝っていて、後席での乗り心地も1.5lが良かった。

新型「ゴルフ」1.5lモデルの車内
筆者撮影
新型「ゴルフ」1.5lモデルの車内

しかし、現状の価格差(装備内容に違いがあるものの現状、49万円)と性能差(1.5lは150PS/250N・m)を天秤にかけた場合、筆者のベストバイグレードは1.0lモデルの「eTSI Active」(312万5000円)に落ち着いた。これに純正カーナビなどの「Discover Proパッケージ」(19万8000円)の追加が理想的だ。

車内はどうか? シンプル過ぎるインテリアデザインに評価が分かれているが筆者は好印象を抱いた。HMIでは指で操作する新形状のシフトノブにはじまり、エアコンからカーナビ、先進安全技術の設定に至るまで、操作ロジックの統一が図られていて使いこなすためのルールさえ飲み込めば使いやすい。

各モードから復帰させる「戻るボタン」がないので使いづらい、という声も聞かれるが、ホームボタンを軸に一度押した各機能ボタンを再度押せば前画面に戻るから、結果的に運転中の操作も視線移動が少ない。見た目は質素に感じるが機能は十分。徹底した質実剛健さは、さながら現代によみがえったビートル タイプⅠのようだ。

指で操作する新形状のシフトノブ
筆者撮影
指で操作する新形状のシフトノブ
見た目は質素に感じるが機能は十分だ
筆者撮影
見た目は質素に感じるが機能は十分だ

内燃機関と電動化のすみ分けはどうするのか

最後にフォルクスワーゲンの電動化について。

2019年3月、スイス・ジュネーブで開催された「第89回ジュネーブ国際モーターショー」の会場で、フォルクスワーゲンAG会長に就任して間もないヘルベルト・ディース氏に、この先の内燃機関と電動化のすみ分けプランについて伺ったことがある。

フォルクスワーゲンAG会長ルベルト・ディース氏。「第89回ジュネーブ国際モーターショー」にて。
フォルクスワーゲンAG会長ルベルト・ディース氏。「第89回ジュネーブ国際モーターショー」にて。(筆者撮影)

氏は、「フォルクスワーゲングループの販売構成でいくと、2025年に電気自動車(EV)25%、ハイブリッド車を含めた内燃機関で75%という数値が現実的。しかしCO2排出量の2030年目標値である66.5g/km実現にはEVの台数が足りない。よって、将来的にEV比率を40~50%に向上させていく必要があると考えている」と答えた。

事実2019年に生産を開始したフォルクスワーゲンのEV「ID.3」は、欧州を中心に販売台数を伸ばしている。

と同時に氏は、「内燃機関エンジンの新規開発は行わないが、扱いは当面やめない。既存の内燃機関の排出ガスクリーン化や、燃費数値の向上を目的とした取り組みについては、この先も継続する」としている。

つまり、ゴルフが搭載した48Vマイルドハイブリッドシステムは、この時に決定していた内燃機関における取り組みのひとつといえる。