成功体験のある組織ほど、抵抗勢力は肥大する

いざ、経営者やリーダーが会社にDXを進めると宣言したとしても、社内は必ずしも賛同者ばかりではありません。DXを推進する過程では、必ず抵抗勢力が生まれます。「今のままでも十分結果が出ているではないか」「やったことのないことはできない」などと言って、進むべき道を阻むでしょう。面と向かって反対と言う人もいれば、反対とは言わなくても協力しない人、状況を傍観するだけの人など、色々な人が出てきます。

「なぜ? 会社のためにやっているのに」と思う方もいると思いますが、とくにDXは企業を変革する意味合いも強いため、抵抗勢力を生みやすいのです。

そもそも組織は、変革を好みません。とくに成功体験を持った組織ほど、その抵抗は大きいものになります。加えて、アナログからデジタルに変わるという今の時代が求める意識転換は、多くの人を不安にさせており、その分、抵抗も激しくなります。それは、やがてDXのプロジェクトが進むとともに、大きな抵抗勢力となり、プロジェクトの前に立ちはだかってくるのです。

対処法は「穏便な施策」から「強硬な施策」へ

リーダーシップ論の世界的権威であり、ハーバード大学ビジネス・スクールのジョン・コッター名誉教授は、抵抗への対処について、「穏便な施策」から「強硬な施策」に対処していく必要があると説明しています(図表1参照)。

「穏便な施策」から「強硬な施策」
出所=『成功=ヒト×DX

具体的には、社員に正確に情報を伝え、不安を取り除くために参加を促進して、新しい環境への適応を手助けしていくことから始めます。組織的な抵抗に対しては、大きな勢力を持っている人に交渉し、戦略的に抵抗を弱め、最終手段として組織的な強制力を働かせ抵抗を抑え込んでいくことが有効です。

抵抗への対処は、これらの方法を理解したうえで、相手の立場に立ち、段階的な対処をしていくことが大切です。