緊急事態宣言下で秩序ある行動をとったカッコいい人間たち

「人間って自粛できないよな」

フォトグラファー 小田駿一氏
フォトグラファー 小田駿一氏

2020年4月、最初の緊急事態宣言が発令されたとき、フォトグラファーの小田駿一さんは平時とさほど変わらない人出の街を見てそう思った。しかし、感染拡大前によく訪れていた新宿ゴールデン街を見に行って驚いたという。

「バンッ! と人がいなかったんです。電灯だけついていて幻想的で美しいのと同時に、『飲食店の人すごいな』と。それまでのイメージではゴールデン街の人って四角四面に自粛とかしないだろうと思っていましたが、みんな店を閉めていました」

本著は1度目の緊急事態宣言下で人がいなくなった繁華街を収めた写真集。夜の繁華街で「秩序」ある行動をとったカッコいい人間たちがいたことを間接的に物語る。手がけたのは気鋭のフォトグラファー、小田駿一さん。これまで、数多くの著名人を撮影してきた。制作にあたって小田さんが意識したのが、未曾有の混乱の「記録」と写真としての「美しさ」の両立だ。

「報道写真だからといって、ただ記録すればいいわけではなく、そこに美しさも加えることでより多くの人に届けられればいいなと思いました」