出産後、司法試験に挑戦

うつ病と摂食障害は、その後も続き、大学も単位ギリギリで卒業し、就職はできませんでした。落ち着いたのは、子どもを出産した20代後半のことでした。そこで司法試験を受験しようと決心したんです。

“何かしたい”という思いが、自分のなかでくすぶり続けていたんですよね。今まで何もできなかったゆえに、自分の力を試したい、その力を証明したいと。子育てをしながらの挑戦は大変でしたが、それは初めて自分で選んだこと。だから絶対にやめられなかった。

いじめられて恥ずかしいと思わないで

幾度かのトライの後、司法試験に受かり、私は今、弁護士をしています。被害を受けた相談者の立場を何より理解したいという、私が大事にしている姿勢には、過去の経験がつながっていると感じるところがあります。

『FACES いじめをこえて』
出所=NHK「FACES」プロジェクト

でも私はまだ、いじめを克服したとは思えない。“そんな経験があったから、今の自分がいる”なんて思うことはできない。でも今は、ちょっと弱いところのある自分を受け止め、楽しいことも、うれしいこともあって、それでいいんじゃないかなと気楽に考えるようにしています。

当時の私は、“いじめられていることが恥ずかしい”という思いが強かったんです。だから誰にも相談できなかった。あのときの自分に言いたいのは、ひとりで抱えないで、ということ。もっと誰かに相談して、全然恥ずかしいことじゃないんだから、って。

NHK「FACES」プロジェクト『FACES いじめをこえて』(KADOKAWA刊)
NHK「FACES」プロジェクト『FACES いじめをこえて』(KADOKAWA刊)
【関連記事】
バカほど「それ、意味ありますか」と問う
会議で重箱の隅つつく「めんどくさい人」を一発で黙らせる天才的な質問
「結婚しないと自由になれない」眞子さまの選択に顔をしかめる人たちのお節介
「エレベーターで舌打ち、感染者狩り…」コロナ禍タワマンの深すぎる闇
「前に教えたよね」デキる人ほど言ってしまうパワハラ寸前のNGワード