東大医学部生がマッキンゼー説明会に100人中40人が参加

2004年、新研修医制度が始まり、大学卒業したての新人医師は母校の大学病院よりも都市部の病院に就職するトレンドが始まった。同時に、医大教授や大学病院の凋落も始まった。「救急車たらい回し」「医師集団辞職」「母体死亡で産科医逮捕」のような報道が相次ぎ、地域医療は深刻な人手不足に悩んだ。

東京大学
写真=iStock.com/ranmaru_
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こうした医療業界の矛盾を目の当たりにした若手医師の中には、有名医学部を卒業するものの、「医師を辞めて外資コンサルに転職」という進路を選ぶ者が出現するようになった。

実際、文部科学省の「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会(第6回)議事録」(2009年)には、「マッキンゼーが東大医学部の学生に対して就職の説明会に来た。(東大医学部6年生の)100人の学生のうち、実は40人近くが参加して、医者にならなかった学生も結構出た」「医者という仕事に夢を感じられなくなったから」という発言が残っている。

大学病院で出世し「大学教授」ポストに就いたとしても、ドラマ「白い巨塔」のようなブランド力はもはやない。よって、むしろ「ビキニ美女を同伴してヨットに乗る豊田氏」のスクープ写真のほうが、今どきの野心的な若手医師の羨望を集めるのではないだろうか。

元外資コンサルタント医師は今どこで何やってる?

外資系コンサルタントのほとんどは、就職数年間で辞めて起業や転職することが一般的である。例えば、2010年前後に外資系コンサルに就職した医師たちは、現在なにをしているのだろうか?

調べてみると目立つのは、やはり「医療系ビジネスの起業」「医療系ベンチャー企業の役員」である。医学をアピールするためか医療系ベンチャーは「メドレー」の他にも「メドピア」「メトリカ」「メドメイン」など「Med」で始まる社名が多い。

特に「メドピア」社は、メドレー同様に「医師が代表取締役」「オンライン診療に強いベンチャー」で「マザーズ上場」企業でもあり混同されやすい。文春砲翌日2月4日の株価も、「メドレー-2.96%」「メドピア-4.68%」と風評被害なのか本家よりも急落しており、ちょっと気の毒である。

変わり種としては、「医学部生や医師国家試験向けの学習動画配信サービス」Medu4を主宰するDr.穂積氏が挙げられる。2015年開始ながらわかりやすい授業で人気を集め、「医学生で知らぬ者はいない」レベルで広く浸透している。本名や東大医学部出身以外の経歴は公表されていなかったが、2018年の動画配信の一部で「元マッキンゼー」であることを発表している。

元コンサル女医としては冨坂美織氏が有名だろう。順天堂大学出身の産婦人科医で、ハーバード大学公衆衛生大学院に留学の後、マッキンゼーに就職した。その後は、産婦人科医として勤務しつつ、雑誌の読者モデルやテレビ番組コメンテーターとして活躍している。