オンライン商談はアイデア次第で強みに変えることができる

「茨城県日立市に、輸入されたメルセデス・ベンツの車両が荷揚げされる港があるのですが、私は、港でお客様の車が荷揚げされるのを待って写真を撮影し、『今日はお客様のために日立まで来ています。これがお客様の車ですよ』とメッセージを添えてお客様に送ったこともあります。また、お客様が検討されている車をご自宅の前まで運んで写真を撮り、『家の前に停めた感じも素敵ですね』とメッセージを送ります。営業マンは、お客様の心をどれだけ揺さぶることができるかが勝負。オンライン商談はアイデア次第で強みに変えることができるんです」

中には「オンラインじゃわからないから、直接見に行くよ」という顧客もいるという。しかし、三上氏にとっては、それが狙いでもある。

「私としてはお客様に『直接見たい』と言ってもらえるところまでオンラインで誘導し、最後は直接対面でクロージングする……というのが理想なんです」

オンラインの利点を駆使して顧客の興味を惹きつけ、最後は店舗へと導く……百戦錬磨のセールスマンに学ぶべき点は多い。オンライン商談では、従来のプレゼン手法にとらわれることなく、必要に応じて積極的に新しい手法を取り入れ、アップデートしていくことが大切なのだ。

相手の興味・関心を一発で見抜く方法

オンライン商談では、画面に映る相手の動きや表情も、重要な情報になる。

阿部一樹氏
阿部一樹氏

ヤマト住建の阿部氏は、相手の動きや表情に合わせて、説明に緩急をつけるようにしているという。

「オンライン商談の際には、お客様の表情や行動を注意深く確認しています。例えば、ある個所でお客様がカメラにグッと近づいてきたら、関心を持ってくれているなと判断して話を掘り下げる。逆に背もたれに寄りかかって聞いているようなら、あまり関心がないと判断して、興味を持ってもらえそうな話題に早めに切り替えます」

オンライン商談では、互いに使い慣れないツールを使用していることから、トラブルも発生する。

ギャプライズの山下氏は言う。

「先方のWi–Fi環境が悪かったため、たびたび音声が途切れてしまうケースがありました。途切れた部分が重要な話だと困るので、『すみません。ちょっと聞き取れなかったんですが』と、何度も聞き返したんです。結局4回目で聞き取れたのですが、3回目ぐらいでドキドキしました(笑)。社内のスタッフに聞いてみると、画面をオフにすると通信の負荷が軽減されて音声が明瞭になるそうです。今後、同じようなトラブルが起こったら『画面をオフにしてみてください』と伝えようと思います」

顧客とのコミュニケーションツールとしてLINEを多用するヤナセの三上氏は、こんな経験をしたそうだ。