―― 箱根駅伝が終わると、4年生は引退し、新チームが結成される。渡辺監督は次なる目標に向け、現3年生を中心としたチームづくりに取り組む。
1月12日。所沢のグラウンドには新チームが集まった。「他の強豪チームは次も勝たせてくれるほど甘くない」と気を引き締める。また長い1年が始まった。

1月12日。所沢のグラウンドには新チームが集まった。「他の強豪チームは次も勝たせてくれるほど甘くない」と気を引き締める。また長い1年が始まった。

2シーズン連続の三冠達成は前人未到の大記録です。当然、期待されるわけですが、東洋大、駒沢大はじめ強豪校がそう簡単に許すはずはありません。

新チームの戦力には自信があります。しかし個々の戦力を足し算するだけでは本当のチーム力にはなりません。

今回の箱根では、早稲田の区間賞は一区だけでしたが、それは僕が考える究極の駅伝チームに近づいた証拠です。1万メートル走の記録が28分台の選手を10人揃える。「大砲」と呼ばれるエース選手は必要ない。その代わり、大きく差をつけられる「ツナギ区間」もない。これが究極の駅伝チームです。

新チームで最も心配されるのは、誰か一人が引っ張るチームになることです。強い選手はいてほしいですが、そのせいでチーム全体の底上げができなければ、結局勝てません。これは監督として注意すべき点だと心得ています。

一方で、僕には、世界に通用するランナーを育てたいという夢もあります。09年に早稲田を卒業した竹澤健介は、在学中に北京五輪に出場し、次のロンドンでも活躍が期待されています。彼につづく、日の丸をつけて走る選手を育てたいと考えています。

(太田 亨、AJPS/AFLO、PANA(代表撮影)=撮影 伊田欣司=構成)