ランニング界に革命をもたらしたナイキの厚底シューズ。7月2日に出た新色は10分で完売した。しかし、その1週間後には未使用の約60足がヤフオクに、また約290足がメルカリに出品され、定価の2倍近い価格で売買されていた。スポーツライターの酒井政人さんは「選手たちも入手できずに困っている。スポーツシューズの転売には規制が必要だ」という――。
ナイキの厚底シューズ
写真提供=ナイキ
「エア ズーム アルファフライ ネクスト%」の新色

定価の2倍近くで売りさばく、ナイキ厚底に群がる転売ヤー

アシックス、ミズノ、アディダス、ニューバランス……。コロナ禍とはいえ、各社は秋冬のマラソンシーズンに向けて続々と新モデルを投下している。

ナイキは大迫傑が今年3月の東京マラソンで2時間5分29秒の日本記録を打ち立てた「エア ズーム アルファフライ ネクスト%」(以下、アルファフライ)のニューカラーを7月2日に販売。税込3万3000円ながら公式オンラインショップでは10分弱で完売した。

今回も、「欲しい」と熱望しながら購入できなかった人がたくさんいたことになる。

マラソンに革命をもたらしているナイキの厚底シューズの人気は過熱し、需要が供給を大きく上回っている。そうしたランニングシューズのマーケット状況をビジネスチャンスと捉える人もいる。今、ナイキの厚底に「転売ヤー」が群がっているのだ。

転売ヤーとは家庭で不要になったものを販売するのではなく、入手困難なアイテムを仕入れて、ネットオークションなどで販売。その差額で利益を得る人たちのことをいう。稼ぎのタネとしてナイキの厚底シューズが狙われているわけだ。

新色アルファフライの発売から1週間。7月9日15時に大手の個人間売買サイトを閲覧すると、「未使用」が多数出品されていた。たとえばヤフオクでは約60足、メルカリでは約290足が確認できた。多くは4万円前後で取引されており、なかには5万9800円で売買が成立しているものもあった。

メルカリの「取引ブランドランキング」(集計期間2019年5月~2020年5月)によると、最も買われているブランドはナイキだった。

【メルカリで最も買われているブランド】
1位ナイキ
2位アップル
3位アディダス
4位任天堂
5位ザ・ノース・フェイス
6位ソニー
7位ジーユー
8位シャネル
9位ザラ
10位ディズニー

※ユニクロは「殿堂」入り

ナイキ以外にもアディダス(3位)、ザ・ノース・フェイス(5位)とスポーツブランドが3つもランクインしている。