妊娠中にもかかわらず、新型コロナウイルスの感染リスクのある職場で働かざるを得ない人がいる。医師の木村知氏は、「配置転換や休職を言い出しづらい人は、医療機関で特に多い。だが、妊娠4カ月の高橋医師(仮名)による署名活動や要望書の提出が、その風潮を変えるきっかけを作った」という——。
妊婦さんが手をお腹の上に置いている
写真=iStock.com/Milatas
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妊婦に「休職するなら無給」と言い放つ病院

先日、夜遅くニュース番組を見ていたところ、妊娠中であるにもかかわらず新型コロナウイルスへの感染リスクのある救急医療現場で働くことを余儀なくされているという女性救急医の声を耳にして、思わず「本当か」と叫んでしまった。

高橋医師(仮名)は妊娠4カ月。救急医として、新型コロナウイルス感染者を受け入れる医療機関に勤務している。もとより激務の救急医療現場だ。そこに、新型コロナウイルス陽性患者を収容する病棟での勤務やPCR検査の検体採取といった、感染リスクを伴う新たな負荷が加わる。

肉体的な疲労はもちろん、自分も感染するのではないかという不安、さらに感染した場合、胎児に影響はないのか、感染した妊婦を診療してくれる医療機関をすぐに見つけることはできるのか……。精神的な疲労も、私の想像をはるかに超えるものであるはずだ。

同じ医師でありながら、救急医療の最前線でこのような苦境に立たされている医師の存在を知らなかった己の無知を恥じるとともに、これはひとりでも多くの人に知ってもらう必要があると感じ、思いを率直にTwitterに投稿した。

news zero 救命救急でコロナ患者さんに対応している妊娠4カ月の女性医師。その病院側の対応がひどい。「休職するなら無給」だと。リスクの低い仕事への転換を「言い出しづらい」という状況。この国は、どうしてこんなにまで犠牲や滅私が美徳なのか。生命の尊厳が、どうしてこんなにまで軽く扱われるのか。