「コロナ過剰反応 偏見は社会不安しか生まない」

「コロナ過剰反応 偏見は社会不安しか生まない」との見出しを掲げた読売新聞の社説(4月23日付)には感心した。これまで安倍政権寄りでかなり打算的なところもあり、これが新聞社の社説だろうかと呆れることも多かったが、今回はたいへん良かった。

「目立つのが、医療従事者らに対する心ない言動だ」と指摘したうえで、具体的事例を挙げている。

「集団感染が発生した東京都台東区の永寿総合病院に勤務する女性は、娘が通う保育園から登園を自粛するよう求められた。女性はPCR検査で陰性だったが、娘の登園を控えざるを得なかった」
「医師や看護師が感染した兵庫県小野市の北播磨総合医療センターでは、人事異動で転居しようとした職員が業者に引っ越し作業を断られた。家族が勤務先から出勤停止と言われたケースもある」
「日本医師会によると、感染者が出た病院がシーツや枕カバーなどのリネン交換を業者から拒まれた事例も出ている」

どれも酷い話である。正しい知識がなく、不安からむやみに怖がる結果、こんなケースが多発するのだ。

今、求められるのは、最前線で働く人たちへの感謝だ

読売社説はさらに具体例を挙げて指摘する。

「愛媛県新居浜市の市立小学校は、感染拡大地域を行き来する長距離トラック運転手の子供に自宅待機を求めた。保護者も子供も体調に問題はなかったが、感染のリスクが高いと判断したという」
「外出自粛が広まるなか、トラック運転手は物流を担い、国民の経済活動を支えている。学校関係者はなぜ、そのことに思いを巡らすことができなかったのか」

これも開いた口が塞がらない話である。運送業者や医療従事者の中にはこうした事態を少しでも避け、かつ家族に感染させまいと、アパートやマンションの部屋を独自に借りて単身で生活している人もいる。申し訳ないと感じると同時に仕事で社会に貢献する姿に頭が下がる。

読売社説は書く。

「中傷が続くと、感染拡大を防ぐため情報を積極的に公開しようとする動きに、ブレーキがかかりかねない。過激な言動は社会不安をあおる結果しか生まない」
「新型ウイルスには誰もが感染しうる。今、求められるのは、最前線で働く人たちに感謝し、自らも感染抑止に努める姿勢だろう」

こんなときだからこそ、過激な言動は避けるべきである。読売社説が指摘するように、働く人たちに感謝する必要がある。