在宅勤務も不調のきっかけになる

職場に同年代がおらず、気軽な話し相手がいないから気分転換ができない。同僚や先輩に高い評価を得たいから、いつも我慢して、気を張っている(気を緩めることができない)。在宅勤務が続き、ちょっとした会話をする相手がおらず次第にストレスがたまっていく……。メンタルヘルス不調になるきっかけは、このように他愛もないケースも多いということを私は経験してきました。いずれも、当人の置かれた状況は違いますが、「話し相手」がいないという共通点がありました。

これは誰にでも起こりうることです。ですから、一度立ち止まって、「仕事を重視するばかりに、古い友人たちと疎遠になってはいないか」「プライドが邪魔をして、相談できずに困っていないか」と振り返ることが大切になります。

自分を追い込むのは、期待が高すぎるから

不安やストレスをこじらせてメンタル不調になってしまう原因の一つに、自分および相手に対する“高すぎる”期待があります。これには、「自分から自分への期待」「自分から他人への期待」「他人から自分への期待」の3パターンがあります。

「自分から自分へ」期待をかけすぎることで、ストレスに悩み潰れてしまうパターンで多いのが、新生活での自分への高すぎる期待値です。特に、1月や4月、新年や新年度が始まると、多くの人は気持ちを新たにし、自分自身に期待をかけます。お稽古事や自己研鑽けんさんなどを始めて、思った通りにうまくいけばいいのですが、そうはいかないケースも当然あります。そんなとき、すぐに諦められる人はいいのですが、「努力が足りないから、もっと頑張らなければいけない」と考え、自分を追い詰めてしまう人もいます。

このようなタイプの人は、周囲からすると何らストレスを感じてないように見えても、自分への期待が高すぎるために、自分自身でストレスを生じさせてしまい、メンタルヘルス不調になってしまうのです。