日本の父親は子どもと遊ぶ能力に長けている

そのような父親の遊び方について、人類学者の河合雅雄は、「大人は力を抜くことによって対等の場を設定しなければならない。そのとき、わざとらしく負ければ、勝っても子どもは不満であり、つまらないから、やめようということになる。おとなに要求されるのは演技力である」としている。

榎本博明『伸びる子どもは○○がすごい』(日経プレミアシリーズ)
榎本博明『伸びる子どもは○○がすごい』(日経プレミアシリーズ)

演技力というより、子どもの気持ちを想像し共感しながら、子どもが興奮し満足できるように手加減しつつ遊ぶことが必要になる。そのように相手に合わせるのは、間柄の文化を生きる日本人はとても得意なはずだ。

じつは、自己中心の文化を生きる欧米人は、子どもの発達状況に合わせて遊ぶのは、どうも苦手なようだ。欧米で大人が子どもと遊ぶ様子を見て、大人が子どもの気持ちに合わせて遊ぶのが苦手だと感じる日本人が多い。間柄の文化を生きる日本人は、何かにつけて子どもの目線に合わせた言動を心がける。

夫婦がお互いに「お父さん」「お母さん」と呼び合ったり、祖父母がお互いに「じっちゃん」「ばっちゃん」と呼び合ったりするのも、子どもの目線を通して夫婦がお互いを呼び合っているのである。

このような心理傾向をもつ私たち日本人は、子どもの立場に身を置き、子どもの気持ちに想像力を働かしながら、子どもと遊ぶことに慣れている。

日本の父親は、子どもと遊ぶ能力が優れているという点について、もっと自信をもってもよいだろう。

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